2008 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪内分泌代謝学を基盤としたメタボリック症候群のトランスレーショナルリサーチ
Project/Area Number |
16109007
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中尾 一和 Kyoto University, 医学研究科, 教授 (00172263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
益崎 裕章 京都大学, 医学研究科, 講師 (00291899)
荒井 宏司 京都大学, 医学研究科, 非常勤講師 (00263088)
細田 公則 京都大学, 医学研究科, 教授 (40271598)
海老原 健 京都大学, 医学研究科, 特任講師 (70362514)
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Keywords | メタボリック症候群 / 脂肪細胞 / トランスレーショナルリサーチ / レプチン / 遺伝子操作マウス |
Research Abstract |
(1)レプチン臨床応用の適用拡大に関する研究 脂肪萎縮性糖尿病でのレプチンの臨床応用に加え、2型糖尿病におけるレプチンの抗糖尿病薬としての可能性について検討した。マウスにストレプトゾトシンと高脂肪食を負荷して2型糖尿病モデルマウス(STZ/HFDマウス)を作製し、レプチンの治療効果を検討した。STZ/HFDマウスでは、体脂肪量の増加、インスリン抵抗性およびインスリン分泌低下を伴う高血糖、脂質代謝異常、肝臓および骨格筋中性脂肪含量の増加が認められた。2週間のレプチン持続皮下投与(20ng/g/hr)により、STZ/HFDマウスにおいて摂食抑制、約5%の体重減少、インスリン感受性の改善を伴う血糖値の低下(487±21mg/dlvs.327±24mg/dl、P<0.01)が認められた。また血中中性脂肪、遊離脂肪酸濃度は正常マウスと同等レベルにまで改善し、総コレステロール濃度の有意な低下が認められた。今回の検討により、2型糖尿病におけるレプチンの抗糖尿病薬としての可能性が示された。 (2)レプチンの糖代謝改善効果における作用メカニズムの解明 レプチンは骨格筋においてAMPKを活性化することにより脂肪酸酸化や糖取り込みを促進することが知られている。そこで低レプチン血症でありレプチンにより糖代謝が改善することが知られる脂肪萎縮性糖尿病モデルA-ZIP/F-1マウスの骨格筋および肝臓におけるAMPKの活性を検討した。骨格筋ではAMPK活性に明らかな変化は認められなかったが、肝臓においては明らかなAMPK活性の低下が認められた。またレプチン投与により骨格筋のみならず肝臓においてもAMPKの活性化が認められた。以上よりレプチンの糖代謝改善作用には骨格筋のみならず肝臓のAMPK活性化も関与しているものと考えられた。今後、AMPK活性を指標としたレプチン感受性の解析系の構築や、AMPKを標的とした治療法の開発を行う。
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Research Products
(27 results)