2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16200019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
植田 一博 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (60262101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 英夫 日立製作所, 基礎研究所, 主任研究員
敦森 洋和 日立製作所, 基礎研究所, 企画員(研究職)
佐々木 豊文 NBS日本速読教育連盟, 理事(研究職)
加藤 正晴 東京女子医科大学, 医学部, 博士研究員
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Keywords | 認知科学 / 脳科学 / 実験心理学 / ブレインイメージング / 読書 / 速読 / 熟達化 / 視覚的探索 |
Research Abstract |
本研究の目的は,読書の中でも速読に焦点を当て,人間の読書能力の熟達化のプロセスを,従来の心理実験を併用しつつ,主に脳科学的な手法(ブレインイメージングの手法)を用いて解明し,さらにその成果を教育場面に応用することにある.今年度は特に,読むスピードも速くかつ内容理解も深い速読者とそうではない非速読者の読書時の認知プロセスの差を,(1)脳内活動を捉えるための近赤外分光法を用いた大脳計測,(2)視線運動および視覚的注意を捉えるための,アイカメラによる視線計測と視覚的探索課題を用いた心理実験,により明らかにした. (1)の結果,非速読者が読書を行う場合には,多くの先行研究で示されている通り,ウェルニッケ野および聴覚野が賦活したのに対し,速読者が速読を行う場合には,ウェルニッケ野が賦活していないことが明らかになった.このことは,速読者がウェルニッケ野を経由せずに文章理解を行うことで,情報処理の時間を短縮し,高速度の読書を行っていることを示唆していると推察された.また,一部の速読者の酸化ヘモグロビンの変化に周期的な波が観測されたが,その原因はまだ同定できていない. (2)の結果,単一特徴課題(色課題・傾き課題),複合特徴課題のいずれにおいても,速読者は非速読者に比べて有意に高いパフォーマンスを示した.このことは,非速読者に比べて速読者は,能動的な視覚的注意と受動的な視覚的注意のいずれにおいても優れていることを示しており,速読訓練で視覚的注意が強化されることによって速読が可能になっているものと推察された.
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Research Products
(2 results)