2005 Fiscal Year Annual Research Report
ダイナミックな相互作用による多種感覚的認知の形成過程の研究
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16200020
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
乾 敏郎 京都大学, 情報学研究科, 教授 (30107015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋木 潤 京都大学, 人間環境学研究科, 助教授 (60283470)
杉尾 武志 同志社大学, 文化情報学部, 講師 (60335205)
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Keywords | 多種感覚 / 情報統合 / 到達把持運動 / 視覚 / 運動指令 / 触覚 |
Research Abstract |
(乾)到達把持運動を行う際に,運動時間がオンライン視覚情報の利用特性にどのような影響を及ぼすかを検討するために,運動時間1000msと500msの実験条件を設定した.その結果,運動時間を約500msに短くした場合においても,オンライン視覚情報の指間距離最大値への影響が認められた.特に,運動開始直後からの非常に早いフェーズ(運動開始後0〜80ms)において重要であることが示唆された.一方、到達把持運動の精度予測制御モデルを用いて、運動時間・視覚情報を変化させた場合のシミュレーションを行った結果、心理実験の結果とも一致し、スピード/精度のトレードオフ関係が視覚情報に応じてオンラインにシフトすることを示した。さらにコンピュータマウスを使った曲線のトレーシング実験から,前補足運動野の活動が内的な運動予測に関連しており,また後部頭頂皮質が運動誤差の評価に関連する点が示唆された. (斎木)物体の変形を視覚と触覚により知覚する課題を行い,動的な特性の異種感覚統合を実験的に検討した.動的な特性であっても複数の感覚を用いることで精度の高い知覚が可能であり,効率的な統合には感覚間の比較的厳密な時間的同期が必要であることが示された.つぎに、物体の記憶における視触覚のマルチモーダルな変換過程を明らかにするために,複雑な形状の新奇物体を作成し,再認課題を行った.視覚のみによる記憶・再認を検討した結果,視覚では複数の視点からの学習が,より広範に物体を再認できることが確認された. (杉尾)日常物体としてマグカップを用いて,到達把持運動をおこなう対象となるマグカップの向きと運動をおこなわない妨害刺激となるマグカップとの関係によって,到達把持運動の運動学的特性がどのように変化するかを実験により検討した.その結果,妨害刺激のマグカップの向きが,指間距離の時間変化のプロフィールに影響することが明らかにされた.特に,視覚情報が運動遂行の初期段階に影響することが示された.
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Research Products
(6 results)