Research Abstract |
(乾)運動予測における自己運動と外部運動の神経基盤の違いを検討した.その結果,前補足運動野は自己,外部運動に依存しない視覚運動イメージ化に関連し,後部頭頂皮質における左IPL,右SPL/IPLがそれぞれ自己,外部運動の予測に関与することが示唆された.一方,到達把持運動制御におけるオンライン視覚の影響とともに,把持成分における一定の運動出力パタンを示した.また到達把持運動のパントマイムにおけるオンライン視覚の影響についてシミュレーションを行った結果,パントマイムと実物体への運動の把持制御には共通の機構が関与している可能性が示唆された. (斎木)物体の変形を視覚と触覚により知覚する課題を行い,動的な感覚統合においては,感覚間の時間関係が統合の時間窓を規定する以上の重要な役割を果たし,更にその時間関係は知覚対象の性質により柔軟に変化するものであることが示された.また三次元物体の認知に関して同一感覚内では視点に依存的,独立的な表現を併用して三次元物体を表現しているが,異種感覚間では視点に独立的な表現を用いて三次元物体を表現していることが示唆された. (杉尾)把持対象の位置および観察者に対する向きが,それぞれ独立に異なる時間特性で処理されることによって,運動が遂行されていることが明らかにされた.これらの実験結果は,脳内で位置に基づいた到達運動と物体の内在的特徴に基づいた把持運動が独立に処理されているとする視覚運動チャンネル仮説を支持している. (笹岡)新奇物体の景観の変化を能動的に観察した場合,景観の変化を受動的に観察した場合より景観の般化成績が有意に向上する.本年度は,般化課題では観察時に用いた物体と同じカテゴリの新奇物体を用いることにより,能動的に回転したときに視点変換規則が学習され,般化に有効な情報を与えていることを示した.
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