2006 Fiscal Year Annual Research Report
初期化誘導活性を持つ天然物の探策;クローン個体の作出、未分化体細胞株樹立への応用
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16200030
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
角田 幸雄 近畿大学, 農学部, 教授 (80217364)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 容子 近畿大学, 農学部, 助教授 (40278742)
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Keywords | 初期化 / Oct4 / GFP / 天然物 |
Research Abstract |
過去2年間の研究によって、350種の生薬中4種類に核の初期化誘導活性があることを見いだしたが、本年度はさらに生薬を追加してスクリーニングするとともに、mRNAならびに蛋白質レベルで活性の有無を確認した。また、生薬が受精卵の発生能に及ぼす影響を引き続き検討した。得られた結果は、次のとおりである。 1 初期化を誘導する天然物の探索;TGマウス由来の継代培養体細胞を用い、Oct-3/4蛋白質の発現を指標にして、動物性生薬を中心に156種の生薬を調べたが、活性を持つ生薬を新たに検出できなかった。 2 遺伝子発現ならびに蛋白質発現解析;positiveな結果が得られた4種類の生薬(No.70,212,378,438)を用いた。胎子繊維芽細胞を、生薬添加培地で1、3、7日間培養後RNAを抽出し、RT-PCRによりOct-4の発現を調べた。positiveコントロールとしては、ES細胞を、内在性コントロールとしてG3PDHを用いた.その結果、いずれの生薬を用いた場合でも、Oct4の発現をmRNAレベルで検出することはできなかった。つぎに、同様の処置を行った細胞を用いて、蛋白質レベルで発現の有無を検討した。すなわち、処置細胞をLaemmli bufferに溶解して、Western blot解析を行った。その結果、NO.212にのみ、ES細胞に近い位置にOct4類似のバンドが検出された。しかしながら、反応が弱いことから、有機溶媒を用いた抽出法に切り替え、さらに検討中である。なお、ウシ未受精卵細胞質内に見いだした体細胞核の初期化誘導に関わる蛋白質TCTPの活性化ペプチドをTG胎子繊維芽細胞に導入したが、Oct4の発現は細胞レベル、mRNAレベル、蛋白質レベルのいずれでも認められなかった。 3 受精卵の発生能への影響;これまで187種の生薬を用いてマウス受精卵の発生能に及ぼす影響を調べたが、発生能促進効果を持つ生薬はみられなかった。しかしながら、3種類の生薬に低濃度でも毒性がみられたことから、詳細に検討した。その結果、生薬63では1μg/mlでも完全に発生を阻害することが判明した.そこで現在、この生薬を用いた避妊が可能か否か検討中である。
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Research Products
(4 results)