2006 Fiscal Year Annual Research Report
塩ビを含む廃プラスチックの高度な再資源化技術による資源循環
Project/Area Number |
16201019
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
角田 範義 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (30201411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水嶋 生智 豊橋技術科学大学, 工学部, 講師 (60239233)
大北 博宣 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (20262967)
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Keywords | 塩ビ / 炭素残渣 / 活性炭 / カリウム賦活 / 吸着性能 |
Research Abstract |
本年度掲げた当初の計画は以下の通りであった。 I.昨年度開発した「装着型活性炭製造炉」の性能評価を行い,実用化の観点からの稼働を試みる。 II.今年度購入する水蒸気存在下で測定可能な示差熱天秤装置を使い,水雰囲気下での表面官能基のはたらきを検討する。 III.農ビの農ポリの組成比が85/15の試料について活性炭性能に与える影響を測定する。また,組成比の異なる試料を混合して炭化・賦活を行ったときに生成した活性炭性能を評価する。 これらの目標に対しての実績を示す。 I.共同研究している会社の不慮の事故による委託先への変更等により、日程の遅れが生じた。新しい開発の中心は「製造炉導入口の拡大」を主とする改良と「排気管の改善」による効率の向上であった。完成した製造炉による活性炭の作製性能の評価をPVC70を使用して行った結果、比表面積1640m^2/g、表面官能基「OH:620, COOH:1120 ueq/g」の値を示す活性炭が得られ、改良前と同等の性能をもつことが確認できた。そして、製造における取り扱いが容易なるとともに副生成物のタール量が減少した。その反面、投入口の拡大のため高温維持における燃料(灯油)の消費量が拡大するという負の面も見られた。得られる結果は再現性がよいものであった。 II.水に対する性質は、水の吸着等温線の測定からPVC由来の活性炭はヤシガラや石炭由来の活性炭と比べて親水性が高く、低濃度の水の存在が吸着性能に影響を与えることが判明した。この活性炭に常温で飽和吸着させた状態の吸着水はTGの測定から低温で容易に脱離し、相互作用が弱いと推定された。水共存下での吸着作用については今後詳しく調べる必要がある。 III.農ビの比率が高いPVC85をもちいて活性炭製造を行った結果、比表面積は1000m^2/g程度と今までの中で最も低くなり、表面官能基(OH、COOH)の量が低下した。作製した活性炭のラマン分光法による評価では、炭素六員環に由来するピーク強度が他の混合比の異なる試料と比べ強くなつた。この理由は、脱塩素化後のPVCは環化構造を取りやすいと言われており、PVC量が多い今回のPVC85試料ではその影響が強く表れたものと推定される。そのため、今までの条件ではカリウムによる細孔形成が不十分であったと考えられる。しかし、PVCとポリオレフィンの混合物から得られる脱塩素化後の炭素残渣の処理条件として少なくともカリウムと炭素の重量比が3:1であれば1000m^2/g以上の活性炭を作製できることが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)