2004 Fiscal Year Annual Research Report
アジア現代女性史の研究:北東及び東南アジアにおける軍事主義とジェンダー
Project/Area Number |
16201053
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Osaka University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
藤目 ゆき 大阪外国語大学, 外国語学部, 助教授 (60222410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古沢 希代子 恵泉女学園大学, 人文学部, 助教授 (80308296)
津田 守 大阪外国語大学, 外国語学部, 教授 (50163811)
南田 みどり 大阪外国語大学, 外国語学部, 教授 (80116144)
今岡 良子 大阪外国語大学, 外国語学部, 助教授 (50273735)
深尾 葉子 大阪外国語大学, 外国語学部, 助教授 (20193815)
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Keywords | 東アジア / 公娼制度 / 売春 / 金貴玉 / 女性運動 / アメリカン・プラン / ジュディー・タギワロ / 女性の抵抗 |
Research Abstract |
第一の領域は、東アジアにおける軍事主義と性売買制度の比較・関係史的研究である。この研究のためにモンゴル、韓国、タイ、フィリピンの研究者たちと交流し、研究会、シンポジウム、協同調査を行った。それらを通して、モンゴルにおいて経済改革のインパクトによる都市移住、海外移住のなかで、売春・人身売買が表面化しつつあること、韓国の公娼制度廃止過程における女性諸団体内部にアプローチの差異があったこと、韓国及び日本には米国のアメリカン・プランと呼ばれる売春政策が影響を及ぼしていたこと、韓国及び日本の女性諸団体においては売春禁止主義が強固であるのに対して、タイとフィリピンにおいては女性諸団体による売春非犯罪化の主張が主流であり、売春の場にいる女性たち自身の組織と運動があることなどを明らかにした。中国(大陸)及び台湾に関しては、基礎資料の収集を開始し、文献翻訳に着手した。 第二の領域は、東アジアにおける軍事主義に対する女性たちの抵抗を跡づける研究である。この研究のために韓国、タイ、フィリピン、ビルマを訪問して調査を実施し、またインドネシア及び東チモールに関する研究を行った。韓国に関しては海外協力研究者の金貴玉氏の協力を得て、解放後の左派女性団体に所属し、パルチザン組織に加入し、国家保安法体制のもとで厳しい迫害を被ってきた高齢女性のインタビューを開始した。タイについては70年代の学生運動、血の水曜日事件以後の武装抵抗、80年代から現在にいたるバンコクにおけるタイ民主化運動に従事し、現在では国家女性問題委員会で働いているスニー氏のインタビューと自伝の翻訳を行った。フィリピンについてはマルコス軍事独裁下の女性運動について、女性団体連合会などのNGOの協力を得て調査を行い、マルコス時代に投獄された経験もあるフィリピン大学教授ジュディー・タギワロ先生のインタビューを開始した。ビルマ、インドネシア、東チモールはいずれも長年厳しい軍事政権の下にあった。その下での女性の抵抗の文学による表現、組織的抵抗の経験、平和構築努力などの一部を明らかにした。
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Research Products
(5 results)