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2004 Fiscal Year Annual Research Report

芸術終焉論の持つ歴史的な文脈と現代的な意味についての研究

Research Project

Project/Area Number 16202001
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (A)

Research InstitutionTottori University of Environmental Studies

Principal Investigator

加藤 尚武  鳥取環境大学, 学長 (10011305)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 栗原 隆  新潟大学, 人文学部, 教授 (30170088)
伊坂 青司  神奈川大学, 外国語学部, 教授 (30175195)
松田 純 (山崎 純)  静岡大学, 人文学部, 教授 (30125679)
山内 志朗  新潟大学, 人文学部, 教授 (30210321)
城戸 淳  新潟大学, 人文学部, 助教授 (90323948)
Keywordsヘーゲル哲学 / 自由学芸 / 技芸 / 解釈学 / ロマン主義 / 美学革命 / 歴史意識 / 芸術哲学
Research Abstract

研究代表者の加藤尚武は、ヘーゲルの「絶対者」という概念がスピノザの実体概念に強く影響を受けており、その絶対者の自己認識に参入する精神の形式のひとつが芸術であるという芸術観が、ヘーゲル美学の原型であることを明らかにした。
分担者の栗原は、先行する思想を解釈する際に、「精神」に依拠するのか、それとも「文字」面を重視するのかをめぐって、ドイツ観念論の中で繰り広げられた論争から、精神こそが真理を過去において表現していた媒体を捉えることができるという認識に、芸術の哲学が芸術を解釈する以上、芸術は常に終焉していなければならなかったという発想の原点があることを明らかにした。
分担者の伊坂は、(1)ヘルダーの風土と神話の概念を手がかりにして、自然風土の中で育まれる民族の神話が芸術の基盤になっていること、(2)シェリングの同一哲学と芸術哲学を手がかりにして、ロマン主義芸術が一面で古代ギリシアの古典主義を踏まえながらも、近代的な主観性と内面的な感情を表現するものであることを明らかにした。
分担者の松田は、一つのパラダイムが終焉する時に新たな歴史が始まるという枠組みの中で、新たな歴史の内実の一つの例を先端医療に求めるとともに、技術の進歩という概念が、技芸にも当てはまるかを考察した。
分担者の山内は、西欧中世におけるars概念(技術ないし芸術)を、(1)12世紀と13世紀におけるartesliberals(自由学芸)をめぐるさまざまな運動におけるars概念の変遷と、(2)13世紀における神学と哲学との関係をめぐる神学部と学芸学部における諸論争におけるars概念を分析することで、近世に到って顕在化する「芸術」概念の中世的な展開を明らかにした。
分担者の城戸は、芸術終焉論の問題機制の前提となるカント美学の研究を担う。カントの『判断力批判』を、18世紀哲学の文脈のなかで読み解き、ドイツ観念論との関連を吟味する作業を進めている。また、『知識の社会史』の邦訳によって、近代におけるars概念の変遷についても知見を深めた。
分担者それぞれが、それぞれの方法と切り口からヘーゲル美学の基礎範疇の解明に向かってきた今、ヘーゲルの「美学講義」に依存しない、精神哲学の文脈で「芸術終焉論」を解明しなくてはならないことが明らかになるとともに、現代芸術のなかに「芸術終焉」が含意されていながらも、作品であることまでは否定されていないように、時代が「仕事(Werk)」という概念に与えている多様な意味を探ることを次の課題として自覚するようになってきた。

  • Research Products

    (22 results)

All 2005 2004

All Journal Article (13 results) Book (9 results)

  • [Journal Article] 精神と文字 -- 理解と解釈のよすが2005

    • Author(s)
      栗原 隆
    • Journal Title

      新潟大学人文学部『人文科学研究』 116輯

      Pages: 49-67

  • [Journal Article] 同一哲学と「絶対者」2005

    • Author(s)
      伊坂青司
    • Journal Title

      理想 第674号

      Pages: 41-50

  • [Journal Article] スローターダイク「操作されうる人間--遺伝子-技術の倫理状況についてのコメント」2005

    • Author(s)
      松田 純, 野口 淳(訳)
    • Journal Title

      科研費報告書

      Pages: 21

  • [Journal Article] 国家レベルの常設生命倫理委員会の設置形態と情報センターの必要性 -- 生命政策の合意形成のために2005

    • Author(s)
      松田 純
    • Journal Title

      平成16年度環境対応技術開発等(バイオ事業化に伴う生命倫理問題等に関する)報告書(財団法人バイオインダストリー協会)

      Pages: 18

  • [Journal Article] アドリアヌス・ヘーレブール『哲学探究』について2005

    • Author(s)
      山内 志朗
    • Journal Title

      新潟大学人文学部『人文科学研究』 116輯

      Pages: 57-73

  • [Journal Article] カントのCogito ergo sum解釈 -- カントにおける自己意識の問題(2)2005

    • Author(s)
      城戸 淳
    • Journal Title

      新潟大学人文学部『人文科学研究』 116輯

      Pages: 23-47

  • [Journal Article] 現代思想と溶解する生と死2004

    • Author(s)
      伊坂青司
    • Journal Title

      神奈川大学評論 第47号

      Pages: 33-42

  • [Journal Article] Klima and Geschichte bei Herder and Hegel2004

    • Author(s)
      Seishi Isaka
    • Journal Title

      Herder-Studien Bd.10

      Pages: 111-134

  • [Journal Article] What Is the New Quality of Genetic Interventions? Genetic Enhancements and the Value of the Vulnerability of Our Bodies2004

    • Author(s)
      Jun Matsuda
    • Journal Title

      静岡大学人文学部『人文論集』 55-1

      Pages: 1-11

  • [Journal Article] 生命倫理における自律尊重と人間の尊厳2004

    • Author(s)
      松田 純
    • Journal Title

      21世紀フォーラム(財団法人政策科学研究所) No.96

      Pages: 4

  • [Journal Article] ドゥンス・スコトゥス『存在の一義性』2004

    • Author(s)
      山内 志朗
    • Journal Title

      現代思想 9月号

      Pages: 32-36

  • [Journal Article] 寛容と平和2004

    • Author(s)
      佐藤 透
    • Journal Title

      ヨーロッパ研究 第4号

      Pages: 193-216

  • [Journal Article] 書評:貫成人『経験の構造』2004

    • Author(s)
      佐藤 透
    • Journal Title

      思想(岩波書店) 第966号

      Pages: 92-96

  • [Book] ヘーゲルの国家観2005

    • Author(s)
      加藤 尚武(編著:加藤尚武編)
    • Publisher
      理想社(印刷中)
  • [Book] 大学における共通知のありか(栗原隆, 濱口哲編)2005

    • Author(s)
      栗原隆, 山内志朗, 城戸淳(共著)
    • Publisher
      東北大学出版会(印刷中)
  • [Book] 遺伝子技術の進展と人間の未来 -- ドイツ生命環境倫理学に学ぶ2005

    • Author(s)
      松田 純
    • Total Pages
      280
    • Publisher
      知泉書館
  • [Book] 公共性の哲学を学ぶ人のために2004

    • Author(s)
      栗原 隆(共著:安彦, 谷本編)
    • Total Pages
      330
    • Publisher
      世界思想社
  • [Book] ヘーゲル -- 生きる力としての弁証法2004

    • Author(s)
      栗原 隆
    • Total Pages
      125
    • Publisher
      NHK出版
  • [Book] 『明六雑誌』とその周辺 -- 西洋文化の受容・思想と言語(神奈川大学人文学研究所編)2004

    • Author(s)
      伊坂 青司(共著)
    • Total Pages
      239
    • Publisher
      御茶の水書房
  • [Book] ドイツ連邦議会答申 人間の尊厳と遺伝情報 -- 現代医療の法と倫理2004

    • Author(s)
      松田 純(監訳)
    • Total Pages
      260
    • Publisher
      知泉書館
  • [Book] 知識の社会史 -- 知と情報はいかにして商品化したか2004

    • Author(s)
      ピーター・バーク著, 井山弘幸, 城戸淳訳
    • Total Pages
      408
    • Publisher
      新曜社
  • [Book] ヨーロッパ大陸の哲学2004

    • Author(s)
      S・クリッチリー著, 佐藤 透訳
    • Total Pages
      204
    • Publisher
      岩波書店

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Published: 2006-07-12   Modified: 2016-04-21  

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