2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16203015
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
津谷 典子 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (50217379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
速水 融 慶應義塾大学, 名誉教授 (40051164)
黒須 里美 麗澤大学, 外国語学部, 教授 (20225296)
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Keywords | 人口統計 / 人口動態 / 近世・近代・現代 / 死亡・死因 / 出生 / 社会経済 / 世帯・家族 / 多変量解析 |
Research Abstract |
本研究は、近世から現代にいたる人口統計データの整備・入力、そしてそれを用いた人口変動パターンとその構造的要因の分析を目的としている。平成18年度は、(1)前年度に引き続き18世紀初頭から幕末までの諏訪地方農村の宗門改帳のマイクロフィルム撮影およびこの資料の現代語訳とデータ入力を継続して実施した。また、かねてより行方不明であうたが、新たに長野県立歴史館に収蔵された同藩諏訪郡横内村の17世紀末から18世紀初頭における宗門改帳のデジタル・カメラ撮影を、予備調査を経て実施した。その結果、1671年〜1869年の199年間で169年分の宗門改帳の撮影を完了し、約200年間にわたる近世日本中部の農村における長期の歴史人口統計データ構築のための基礎資料の整備をほぼ完了した。(2)また前年度より継続している18〜19世紀の東北地方農村の歴史人口統計データについても、データベースとそれを基に作成したフラット・ファイルの構築が完了している陸奥国二本松藩の2村(下守屋村と仁井田村)に加えて、新たに1村(日出山村)の1708年〜1870年の人別改帳のデータベース化を完了した。これにより、江戸時代後半の150年余を網羅する東北日本の歴史人口統計データの構築がなされた。それを基に作成したフラット・ファイルを用いて、これら東北3村における地域経済変動と世帯構造が結婚行動に与える影響に関する多変量解析を行った。この成果は、米国社会科学史学会および日本人口学会にて報告した。(3)明治以降戦前までの「府県統計書」および「日本帝国人口動態統計」のデータ整備・入力についても引き続き行い、前年度に構築したデータに「死産率」の情報を付け加えた。これにより精緻かつ総合的な出生行動パターンの変化の分析が可能になった。(4)戦後日本の結婚と出生に関する分析の一環として、平成18年度は、2004年に実施された全国調査の個票データを用いて、18〜69歳の男女の結婚を含むパートナーシップ行動と家族形成と関係について、形式人口学的分析と多変量解析を行った。その成果は学術論文として刊行した。(5)さらに、近年のわが国の出生率低下の政策的意味について、国際比較の視点から考察した和文論文を刊行した。
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