2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16203015
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
津谷 典子 Keio University, 経済学部, 教授 (50217379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
速水 融 慶應義塾大学, 経済学部, 名誉教授 (40051164)
黒須 里美 麗澤大学, 外国語学部, 教授 (20225296)
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Keywords | 人口統計 / 人口動態 / 近世・近代・現代 / 死亡・死因 / 出生 / 社会経済 / 世帯・家族 / 多変量解析 |
Research Abstract |
本研究は、近世から現代にいたる人口統計データの整備・入力、そしてそれらの統計データを用いた人口変動パターンとその構造的要因を分析することを目的としている、平成19年度は、(1)前年より開始した新たに発見された長野県立歴史館に収蔵されている諏訪藩諏訪郡横内村の17世紀後半から18世紀初頭における宗門改帳のオリジナルデータ撮影を完了した。さらに、このデータを入力し、それを世帯単位で年次を連結することにより個人と世帯のパネルデータを構架する基礎シート(BDS)の作成を完了した。このBDSを用いて行った分析の一部は日本学士院紀要に掲載された論文に示されているが、1671〜1871年の諏訪藩農村における全200年間の諏訪地方農村における人口変動とその主要構造的要因である出生率の指標を構築する作業を現在行っており、最終研究報告書にこの結果を示す予定である。(2)前年度に構築が終了した1708〜1870年の陸奥国二本松藩3農村および郡山の一部の人別改帳データのラット・ファイルを用いて、人口変動の主要構造的要因の1つである死亡率と地域経済および世帯の社会経済的地位との関係について多変量解析を行った。また、結婚と離婚・再婚についても、農村と都市の社会経済的格差の影響に焦点を当てて比較分析を行った。これらの成果は2007年度日本人口学会、2007年度米国社会科学史学会(SSHA)、および2008年度欧州社会科学史学会(ESSHC)にて報告し、またその一部を英文論文として刊行した。(3)戦前期の人口変動とその構造的要因についても、国勢調査構築した。現在、それを用いて多変量解析を行っており、その結果は最終研究報告書に示す予定である。(4)戦後日本の結婚と出生に関する分析の一環として、昨年度完了した2004年の全国調査のミクロデータのフラット・ファイルを用いて、18〜69歳の日本女性の出生プロセスの多変量解析を行った。その結果の要約は、2008年6月に開催される日本人口学会にて報告する予定であり、さらに詳細な分析結果は最終研究報告書に示す予定である。(5)戦後のわが国の出生率低下と政策的対応について国際比較の視点から考察した研究結果を、2007年度日本人口学会にて欧米諸国との比較について報告し、また就業と家庭内労働との関係に関する分析結果を和文編著本に論文として出版した。さらに、戦後のわが国の出所率低下を家族と女性の視点から研究した成果を、編書の和文論文として出版した。(6)本研究で用いた多変量解析モデルの代表的手法であるイベイントヒストリー分析についても、近世日本の農村人口のライフコース分析への応用事例を含め、まとめ説明したものを編書の一章として出版した。(7)本研究および本研究の前身となる文部省科学研究費創成的基礎研究(「ユーラシア社会の人口・家族構造比較史研究」)により収集整理された近世日本の人口統計データの検索プログラムを完成させ、これらの続計データのデジタル資料の整理・統合を行った。そしてその結果を和文刊行物としてまとめた。
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