2005 Fiscal Year Annual Research Report
超広帯域・超高感度・超広視野ミリ波サブミリ波天体干渉計の開発
Project/Area Number |
16204010
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
服部 誠 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90281964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 宏 国立天文台, 先端技術センター, 助教授 (90192749)
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Keywords | ミリ波サブミリ波天文学 / 天体干渉計 / ミリ波サブミリ波直接検出器 / 宇宙マイクロ波背景放射 / テラヘルツ / イメージング |
Research Abstract |
当初研究目的は以下の通りである。1 我々が独自に開発したマイケルソン型ボロメトリック天体干渉計のミリ波サブミリ波天体観測への実用化。1-(1)天体導入・追尾用PC制御システムの構築。1-(2)光学系の高精度光軸調整機構の開発とその調整。1-(3)高感度ミリ波ボロメータ検出器一号機の開発。1-(4)長時間連続運転仕様高感度ミリ波ボロメータ検出器二号機の開発。1-(5)ミリ波サブミリ波天体観測の実施。1-(6)天体観測及びデータ解析手法の構築。2 この装置をベースにした宇宙マイクロ波背景放射(CMB)偏光観測等観測的宇宙論研究分野の開拓を目指した次世代観測装置の基本設計に必要なデータの収集と設計の実施。本年度の研究実績は以下の通りである。1-(1)C言語によるPC制御システムを構築した。光学望遠鏡に光学CCDカメラを据え付けて天体導入・追尾確認システムを構築した。これを用いて1-(2)の調整も行い導入・追尾が我々の測定に必要な精度(積算誤差1分以下)で行えるようになった。データ取得システムとの連動・駆動システムの更なる最適化が今後の課題である。1-(3)75-170GHzに感度を持つ0.3K駆動二素子作動読み出し型高感度ボロメータを素子作りから行い作成した。現在これを用いた観測を実施中である。酸素の吸収線を避けた135-165GHzでより高感度観測を実施する為のフィルターの最適化、ボロメータ素子の特性の最適化が課題である。1-(4)昨年度購入したクライオスタットを改造し寒剤(He4)の持ち時間を一号機の6倍にした。液体He4の常圧での沸点で駆動できる0.3K冷凍機の製作を東北大学で行った。現在この冷凍機の性能評価実験準備を進めている。このクライオスタットに搭載を計画している200-300GHzに感度を持つボロメータ素子を現在製作中である。1-(5)(6)暗い天体の観測が可能な環境が整い現在進行中である。2 大気からの背景放射が少ない帯域での高感度ボロメータ一号機を用いて我々の観測システムの雑音温度測定を現在進行中である。又フィゾー型ミリ波ボロメトリック天体干渉計を用いたCMB偏光観測を目指すグループと意見交換を開始した。検出器の多素子化についてはロシアのグループの研究協力を開始し、次世代ボロメータを用いた多素子検出器の我々の干渉計への応用の検討開始した。これらを元に次世代観測装置設計を開始した。我々の研究によりマイケルソン型ボロメトリック天体干渉計という新しいミリ波観測装置の実用化にメドをつけることができた。本研究で立ち上げた観測装置は帯域の広さ、視野の広さでミリ波サブミリ波観測装置としては他に類を見ないユニークな装置である。用いる検出器は、雑音レベルを観測帯域での大気放射以下に抑えてあり地上観測装置としては限界まで極めた高い感度のものである。本研究で立ち上げた観測装置はミリ波観測装置としても世界的にユニークな存在である。
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Research Products
(4 results)