2004 Fiscal Year Annual Research Report
ALMA時代を見据えた分子原子輝線輻射輸送計算による数値天文学の構築
Project/Area Number |
16204012
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
観山 正見 国立天文台, 理論研究部, 教授 (00166191)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富阪 幸治 国立天文台, 理論研究部, 教授 (70183879)
和田 桂一 国立天文台, 理論研究部, 助教授 (30261358)
大向 一行 国立天文台, 理論研究部, 上級研究員 (70390622)
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Keywords | 数値計算 / 輻射輸送 / 星間ガス / 原始銀河 |
Research Abstract |
(1)活動的銀河中心核の近傍数10pcの分子ガストーラスの流体シミュレーション結果に対して、3次元非局所平衡輻射輸送計算を行い、一酸化炭素輝線の強度マップを世界ではじめて作成した。それにより、ALMAで実現が期待される空間分解能で、近傍銀河の分子トーラスの非一様な内部構造を分解できる可能性があることを示した。 (2)第一世代星形成時に星形成領域から放射されるH2輝線の光度を理論的に見積もった。その結果、これまで考えられていたより放射量は少なく、次世代観測機器(たとえばSPICA)などを用いても直接観測は難しいことが分かった。 (3)重元素量が現在の銀河系円盤より少ない環境下における星間雲の重力収縮過程を熱的・化学的性質に着目して調べた。これまでのモデルに比べて重水素分子による冷却の影響を考慮した点が改善されている。こうして得られた温度進化をもちいて星間雲の分裂過程を考察した。その結果、宇宙の第一世代星はおもに大質量星からなるものの、わずかの重元素(10万分の1太陽金属度程度)がある第二世代星では小質量星形成が可能となることが分かった。これは宇宙初期の星からの輻射による宇宙再電離シナリオに対して重要な示唆をあたえる。 (4)原始銀河中での超新星残骸の化学進化を調べ、この天体の観測可能性について議論する基礎データを得た。 (5)磁気流体力学シミュレーションによって星間ガスから原始星への収縮過程を調べ、観測的可視化の基礎データを得た。非局所熱平衡輻射輸送計算を行いCO, CS, NH_2^+など分子線による観測的可視化を進め、その一部は「原始星の形成とその進化」(2月21日-23日千葉大学)で発表した。
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