2005 Fiscal Year Annual Research Report
ALMA時代を見据えた分子原子輝線輻射輸送計算による数値天文学の構築
Project/Area Number |
16204012
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
観山 正見 国立天文台, 理論研究部, 教授 (00166191)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富阪 幸治 国立天文台, 理論研究部, 教授 (70183879)
和田 桂一 国立天文台, 理論研究部, 助教授 (30261358)
大向 一行 国立天文台, 理論研究部, 上級研究員 (70390622)
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Keywords | 数値計算 / 輻射輸送 / 星間ガス / 原始銀河 |
Research Abstract |
1.磁場と角運動量が平行でない星間雲の収縮過程をMHDシミュレーションで追跡し、ダスト熱輻射の偏光により磁場がALMA望遠鏡でどのように観測されるかを計算した。比較的磁場が弱い場合、中心付近の磁場は、大局的な磁場の方向と直交して観測される場合があり、アウトフローと大局的な磁場の方向が一致しない観測例を説明することがわかった。 2.宇宙の初代星形成時のHD、LiH分子の形成過程を計算し、それらの輝線光度を理論的に見積もった。その結果、これらからの放射量は少なく、次世代観測機器(たとえば日本が計画しているSPICA)などを用いても直接観測は難しいことがわかった。 3.初代星による星間ガスの電離がその後の星形成過程に与える影響を調べた。その結果、いったん電離したガス中ではH2分子による冷却に加えて、HD分子も重要になるため、初代星形成時よりもガスの温度が下がり、より低質量の星が形成されることがわかった。 4.星の形成途中で形成される平衡天体であるファーストコアは形成される星の性質を決める重要な段階であるが、これまでその進化トラックは回転なしの球対称収縮をもとに理解されてきた。現実的な回転ガス雲におけるファーストコアの進化トラックを初めて包括的に構築した。 5.多相星間ガス中の乱流場の流体シミュレーション結果を用いて、電離炭素原子、中性炭素原子、一酸化炭素分子輝線の非局所熱平衡輻射輸送計算を行った。 従来の一相乱流モデルと比較解析することで、多相乱流モデルの特徴はCO(2-1)/CO(1-0)などの輝線比に強く顕れることを示し、ALMAによる遷移相観測が星間乱流場の起源の解明に重要な示唆を与えることを示した。 これらの結果については日本天文学会春季年会(3月27-29日和歌山大学)をはじめとするいくつかの研究集会で発表した。
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Research Products
(6 results)