2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16204025
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 正俊 Nagoya University, 名古屋大学・大学院・理学研究科, 教授 (40092225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 義明 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (60262846)
安井 幸夫 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教 (80345850)
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Keywords | コバルト酸化物 / 超伝導 / 物質開発 / 核磁気共鳴 / 中性子散乱 / 強相関系 |
Research Abstract |
(1)Na_xCoO_2・yH_2O(y〜1.3)の超伝導発現機構、(2)パイロクロア型化合物Hg_2Cu_2F_6Sのフラストレートしたスピン系のスピン液体状態、(3)CuO_2四角形の辺共有で形成される一次元リボンchain系のmultiferroic現象、等に関する成果が今年度の主なものである。 (1)Na_xCoO_2・yH_2O研究では、その超伝導発現における磁性の役割がどんなものであるかを明らかにするため、銅酸化物に対する研究手法をガイドラインに、NMRと中性子散乱によってデータをとった。特に、クーパー対がsinglet状態にあることを示したことや転移温度T_c-v_Qの相図(v_Q:NMR四重極周波数)を完成してきたことを受けて、今年度は相図上に現れた非超伝導相の起源を解明する研究を行なった。NMRだけでなく、中性子磁気非弾性散乱によって磁気特性を理解するキー情報を得、バンド構造のトポロジーについての論争を左右する実験的事実を提出できるようになった。また、母物質であるNa_<0.5>CoO_2およびNa_<0.5>CoO_2の磁性に関しても進展が見られた(2)Hg_2Cu_2F_6Sは、幾何学的フラストレーション系として知られるパイロクロア型化合物でも初めてのスピン1/2の系である。そのスピン液体状態についてNMRを中心に調べ、特徴的振る舞いを明らかにした。(3)前年度、一次元リボンchain系のmultiferroic現象を、スピン1/2の簡単な系では初めてのものとしてLiVCuO_4に対して発見したが、その系の外部磁場印加の際に見られる振る舞いを磁気構造の磁場依存性を含めて解明した。また、類似系であるLi_2ZrCuO_4についても、その磁気構造の詳細をNMRのスペクトルをもとに調べ、multiferroic現象が現在まで見つかっていないこととの関連を議論した。その他、Coの低次元スピン系が示す磁性の研究を進めた。
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Research Products
(61 results)