2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ構造に閉じこめたヘリウムが示す新しい量子現象の研究
Project/Area Number |
16204028
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
白濱 圭也 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (70251486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 勝 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (20196869)
柴山 義行 慶應義塾大学, 理工学部, 専任講師 (20327688)
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Keywords | ヘリウム / 超流動 / 量子相転移 / ボース・アインシュタイン凝縮 / 量子液体 / 量子固体 / ナノ多孔体 |
Research Abstract |
本研究は、ナノ多孔体構造に閉じこめたヘリウム(^4He)が示す特異な量子多体現象を多様な実験により明らかにし、新しい「強相関ボース粒子系」の量子物理学を開拓・追求するものである。 本年度は研究が大きく進展し、多くの重要な発見があった。 1)ナノ多孔質ガラス中^4Heの熱容量測定を行い、超流動転移温度よりも遙かに高温で、熱容量の極大を観測した。これをもって「局在ボース・アインシュタイン凝縮」の発現を最終的に確認し、本研究の最重要目標を達成した。 2)均一な1次元ナノ細孔(孔径2.8nm)を持つFSM16多孔体に閉じこめた^4Heの超流動特性を調べ、加圧による転移温度の抑圧が極めて大きく、超流動が約20気圧で消失することを発見した。これは1次元強相関ヘリウム系の創成・量子相転移への次元性効果を示した画期的な成果である。 3)ナノ多孔質ガラス中^4He超流動特性のねじれ振り子(周波数2kHz)と超音波(周波数9MHz)の同時測定から、超流動転移温度は周波数に依存せず、むしろ多孔体試料の熱処理で生じた細孔のナノ構造の違いが重要であることがわかった。これは多孔体の構造の微小な違いが、超流動に重大な影響を及ぼすことを示した非常に興味深い成果である。 4)固体^4Heの「超流動」をねじれ振り子で研究し、追試実験に成功、さらに超流動特性が固体試料の質に強く依存するという興味深い結果を得た。 5)ナノ多孔体にクリプトン原子を前吸着させることで「実効的細孔径」を小さくして^4Heの超流動特性を測定し、転移温度が低下することを見いだした。これにより、気体吸着による孔径制御法が有効であることが示された。 6)周期的多孔構造を持つ結晶性ナノ多孔体中^4Heに関する準備が完了し、現在測定を続けている。 これらの成果は量子流体固体国際会議他多数の学会・研究会で発表され、また論文を執筆中である。
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Research Products
(10 results)