2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16204029
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
兵頭 俊夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90012484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 晴雄 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (60235059)
斎藤 文修 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助手 (40376588)
長嶋 泰之 東京理科大学, 理学部, 助教授 (60198322)
和田 健 東京大学, 教養学部, 助手 (10401209)
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Keywords | ポジトロニウム / 陽電子 / 寿命測定 / デジタル処理 / スピン軌道相互作用 / ポジトロニウム散乱 / ピックオフ消滅 / ポジトロニウム冷却 |
Research Abstract |
本研究課題では(A)ポジトロニウム散乱におけるスピン軌道相互作用の研究、(B)ポジトロニウムのピックオフ消滅、化合物、共鳴状態の研究、(C)ポジトロニウムの冷却実験を目標としている。各々の研究テーマ毎の本年度の実績は以下の通りである。(A)磁場中でのオルソポジトロニウムの寿命を精密に測定する装置を開発した。これを用いて、キセノン原子存在下で寿命を測定したところ、スピン軌道相互作用の証拠を示す、寿命値の変化が見いだされ、現在解析を行っている。同時に、寿命-運動量測定装置の開発を昨年から継続して行った。これを用いて、ポジトロニウムの消滅率のエネルギー依存性を測定する方法を考案した。(B)オルソポジトロニウムと気体分子のピックオフ消滅の大きさを表すパラメータ1Zeffの測定は、飽和蒸気圧が大気圧より低い気体ではこれまで行われていない。ポジトロニウムの生成媒体としてシリカエアロゲルを用いた室温における飽和蒸気圧400Torrのヨウ化メチルの測定を行い、2.31±0.04という値を得た。この値は、他の気体について知られた1Zeffよりも大きく、原因について検討を行っている。(C)微粒子空隙間の擬似キャビティ中でのキャビティ表面相互作用によるポジトロニウム冷却実験を継続して行った。微粒子径を変化させてポジトロニウムから見たキャビティサイズを大きくし、ポジトロニウムの表面衝突頻度を小さくする実験を行ったところ、熱化の振る舞いに変化が見られた。これを解析することで、ポジトロニウム-表面相互作用の振る舞いをより詳しく知ることができた。
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