2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16204029
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
兵頭 俊夫 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (90012484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 晴雄 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助手 (60235059)
斎藤 文修 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助手 (40376588)
長嶋 泰之 東京理科大学, 理学部, 助教授 (60198322)
和田 健 東京大学, 教養学部, 助手 (10401209)
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Keywords | ポジトロニウム / 陽電子 / 寿命測定 / デジタル処理 / スピン軌道相互作用 / ポジトロニウム散乱 / ピックオフ消滅 / ポジトロニウム冷却 |
Research Abstract |
本研究課題では(A)ポジトロニウム散乱におけるスピン軌道相互作用の研究、(B)ポジトロニウムのピックオフ消滅、化合物、共鳴状態の研究、(C)ポジトロニウムの冷却実験を目標としている。各々の研究テーマ毎の本年度の実績は以下の通りである。(A)磁場中でのオルソポジトロニウムの寿命を精密に測定する装置を用いて、キセノン原子存在下で寿命を測定したところ、スピン軌道相互作用の証拠を示す、寿命値の変化が見いだされた。これを解析することにより、スピン軌道相互作用によりポジトロニウムがスピン転換することが初めて示された。同時にスピン軌道相互作用による消滅パラメター^^1Z_<eff>(断面積に相当)を求めることができた。結果は^1Z_<eff>(pickoffとspin-orbit合計)=1.25に対して、^1Z_<eff>(pickoff)=0.48,^1Z_<eff>(spin-orbit)=0.77となり、spin-orbitの効果が非常に大きいことが分かった。(B)ポジトロニウムの生成媒質としてシリカエアロゲルを用いることで、これまで^1Z_<eff>の測定が行なわれていなかった飽和蒸気圧の小さな気体についても測定が可能であることを見出した。クロロメタンとヨードメタン気体分子に対する測定を初めて行い、得られた^1Z_<eff>はそれぞれ0.57±0.03、2.31±0.09である。クロニロメタンの^1Z_<eff>の値はピックオフにより消滅する他の気体と同程度であるが、ヨードメタンの^1Z_<eff>の値は異常に大きく、ピックオフ消滅以外の消滅過程の寄与の存在が明らかである。よう素の大きな原子番号から、スピン軌道相互作用によるスピン転換によるものと予想しており、引き続き研究を行っている。(C)さらに詳しい情報を得るために、引き続き温度範囲、温度ステップを変えて実験を継続している。また結果を説明するモデルポテンシャルを使った計算を行った。
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Research Products
(1 results)