2004 Fiscal Year Annual Research Report
スペクトル要素法による理論地震記録を用いた地球中心核の構造の推定
Project/Area Number |
16204035
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
坪井 誠司 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, プログラムディレクター (90183871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東野 陽子 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 研究員 (90359183)
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Keywords | 理論地震波形計算 / 地球内部構造 / 地球シミュレータ / スペクトル要素法 / 地球中心核 / 広帯域地震波形 / 大規模数値計算 |
Research Abstract |
平成16年度には、まず地表の地形、地殻及びマントルの三次元構造、回転楕円体の形状効果、減衰を組み込んだ地球モデルに対する理論地震記録の地球シミュレータによる計算を開始した。地殻及びマントルの地震波三次元構造は、これまでにトモグラフィーなどの研究により求められているモデルを用いた。マントルの地震波三次元構造では、P波とS波のモデルはそれぞれ、実体波と表面波という異なる手法で求められているので、本研究ではS波のモデルに基づき、P波のモデルはスケーリング則により求めたものを用いることとした。こうして計算した理論地震記録は、観測記録との比較により核内を通過した地震波の到着時異常を求めるために用いるが、内核の異方性については観測との比較からモデルを求めることを考えて、理論地震記録には既存の異方性構造モデルは含めないこととした。いくつかの地震に対して計算した理論地震記録と観測を比較すると、核-マントル境界で回折されたS波であるSdiffなどに観測波形で見られる特徴的な波形が再現される場合があることが分かった。これは、通常は核-マントル境界に存在すると考えられる地震波速度異常が原因であるとされているが、この理論地震記録の計算に用いた地球内部構造モデルでは核-マントル境界に不均質構造は入れていないので、理論記録に現れた特徴的な波形は、核-マントル境界ではなく他の領域の構造、例えば観測点近傍の局所的な構造(地形や地殻内部の構造)による可能性があることが分かる。特に地形の効果はこれまで精密な見積もりがなされたことが無く、この研究で用いられている手法によりその効果を検討することが可能となったので、今後、地球中心核の構造を推定する際にも観測点近傍の構造の影響を注意深く取り除く必要があることが分かった。
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