Research Abstract |
平成19年度には,南中国四川省北部,九州高千穂地域,およびクロアチア,ベレビト山地での野外調査および国内での室内分析を行った。その結果,古生代末には2段階でおきた大量絶滅事件の中の最初のイベントであるG-L境界事件がグローバルな寒冷化が原因で起きた可能性が,世界で初めて指摘された。とくに中期ペルム紀Guadalupianの末期に当時の海水中の炭素同位体比が異常に高くなる期間が500万年間以上続くことを高千穂地域の研究から発見したことが重要であった。すなわち,当時の海洋における生物基礎生産量の増大およびれに伴う大気中の二酸化炭素の大量消費が起きたことが記録されており,結果として温室効果の低下によるグローバルな寒冷化がおきたと推定される。当時の赤道域に光合成共生を利用して繁栄した,フズリナやサであった寒冷化事件の発見で整合的に説明可能となった。代表者はその古環境変動における意義ンゴに加え,特殊な巨大二枚貝化石(Alatoconchidae)群集の消長パタンも,この時期に未確認を強調するため,この現象を上村事件と名付けた。さらに同様な炭素同位体変動パタンを南中国およびクロアチアで確認しつつあり,その汎世界的影響の大きさが証明されつつある。これらの成果は,15件の学会講演(国外5件,国内10件),13編の学術論文(すべて査読付きの国際誌),さらにSpringer社から出版された1冊の書籍として発表された。
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