2005 Fiscal Year Annual Research Report
浅海域の冷湧水性化学合成群集は氷河性海水準変動に同期して産出する
Project/Area Number |
16204041
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
間嶋 隆一 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (30202310)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 秀樹 国立大学法人静岡大学, 理学部, 教授 (20126791)
亀尾 浩司 国立大学法人千葉大学, 海洋バイオシステムセンター, 助手 (00312968)
北里 洋 独立行政法人海洋研究開発機構, 固体地球統合フロンティア研究システム, 領域長 (00115445)
中村 栄子 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (10017733)
大河内 直彦 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, グループリーダー (00281832)
|
Keywords | 化学合成化石群集 / メタン湧水 / 陸棚 / 氷河性海水準変動 / 上総層群 / 宮崎層群 / 温暖化 / 安定同位体 |
Research Abstract |
本年度の研究は以下の調査を行い,幾つかの重要な成果を上げることができた. ・横浜市の上総層群 1.化学合成貝化石の産出,および自生炭酸塩からなるコンクリーションの発達様式と炭素安定同位体比の解析から確認された7回の湧水ステージの内,湧水縁辺部では3回の湧水ステージで全ての自生炭酸塩が沈殿した事を明かにした. 2.1で確認された自生炭酸塩は,極めて短い時間で沈殿し過去の間隙水垂直プロファイルを極めて良く保存している、すなわち,炭素の安定同位体比は,間隙水DICと極めて類似した変化を示し,この事からSMIとAOMゾーンの識別が可能となった.また,嫌気的メタン酸化菌のバイオマーカーは,想定されたSMIゾーンで最も濃度が高くなる事を示した. ・宮崎県の宮崎層群 1.認定された湧水ステージの一つから自生炭酸塩の解析を行いDICの間隙水垂直プロファイルに極めて近い炭素安定同位体比を得た結果,AOMゾーンとSMIの位置の特定が可能となった.複数層準から得られたバイオマーカーを解析した結果,嫌気的メタン酸化菌のバイオマーカーの濃度変化が認識された.これらの濃度変化とAOMゾーンとの対比が今後の課題である。 2.浮遊性有孔虫化石の酸素安定同位体比を測定した結果,顕著な同位体比変動を得たが,別の時代指標がなく,MISの認定には致っていない.現在ナンノ化石と古地磁気層序による時間面の特定作業を行っている. ・千葉県の上総層群 1.柿ノ木台層に2本のボーリング実施し,75mと80mのコアを得た.柿の木台層の湧水は他の2地域と異なり,地下深部に連続しない事が明かとなった.湧水は,北東-南西方向に線状に連なっており,今後これらの産状に基づく解析を行なう予定である. ・本年度のまとめ 今年度の最も大きな成果は,自生炭酸塩の炭素安定同位体比が間隙水DICの炭素安定同位体比垂直プロファイルと良く一致する事を示した事,SMIの位置を特定できた事である.
|