Research Abstract |
3年計画の初年度として,1)研究に必須の大型機器の購入と調整,および2)白鳳丸航海を用いた分析試料の採取の2点を主として実施した。差動排気装置付き同位体比質量分析計(Thermo, DELTA^<Plus>XP)を新規購入し,現有のガスクロマトグラフと連結した。これによって連続フロー式同位体質量分析(CF-IRMS)システムが立ち上がり,混合気体試料中の各気体の濃度と同位体比を同時測定することが可能となった。ガス試料量,キャリヤーガスの流量,イオンソース,マグネットおよび検出器パラメーター等を調整し,CF-IRMSの分析条件を最適化した。また同時並行で,海洋試料中の気体抽出装置を製作し,標準試料を用いた作動確認試験を開始した。一方フィールド調査として,研究船白鳳丸のKH-04-5次研究航海レグ1および2(平成16年11月29日〜平成17年1月17日)に乗船し,南緯40度〜67度の南太平洋から南極海にかけての外洋域において,緯度5度おきに密な海洋化学観測を行った。表層から底層まで約25層の海水試料をCTDカローセル採水装置を用いて採取した。溶存酸素の酸素同位体比測定方法については,名古屋大学,静岡大学,および富山大学の研究者と情報交換を行った。また本研究を国際共同GEOTRACES(海洋の微量元素・同位体による生物地球化学研究)計画の一環として位置づけ,2年度以降の本格的展開を計るために,同計画策定会議(英国),SCOR総会(イタリア),およびキール大学(ドイツ)への招聘の機会に,海外研究者と密に研究打ち合わせを行った。
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