2006 Fiscal Year Annual Research Report
顕微ラマン分光法を用いた有機薄膜多層構造における電気化学現象の解明と物性制御
Project/Area Number |
16205004
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
古川 行夫 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (50156965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細井 宜伸 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (50386645)
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Keywords | ラマンスペクトル / 有機EL素子 / 有機薄膜 |
Research Abstract |
(1)有機薄膜の構造と配向の解析 電子デバイスで利用されている有機薄膜の構造を顕微ラマン分光法により検討した.有機薄膜トランジスタの代表的な有機半導体であるペンタセン薄膜の配向に関して検討した.数nm程度の膜厚までラマンスペクトルを観測することができた.b<SUB>3g</SUB>振動バンドの相対強度と偏光解消度から,配向に関する知見を得ることができることを示した.ラマン分光法は有機薄膜の研究法として有用である.ポリジアセチレン薄膜(青色膜)をラングミュア・プロジェット法により作製した.垂直引き上げ法と水平引き上げ法で炭素炭素三重結合の伸縮振動波数に違いが観測された.側鎖の縦揺れ振動のプログレッションが観測された.様々な炭素数のアルカンのスペクトルを基にして,側鎖は全トランス構造をとっていると結論した.(2)有機薄膜の酸化・還元反応の解析n-Si/SiO<SUB>2</SUB>/有機薄膜/Au半透膜の構造をもつ金属・絶縁体・半導体(MIS)デバイスを作製し,キャリア注入前後のラマンスペクトル変化を観測し,キャリア注入に伴う有機物の変化を検討した.励起光は金属半透膜から照射した.有機ELにおいて電子移動層・発光材料として代表的材料であるAlq<SUB>3</SUB>の場合には,ホール注入によりスペクトル変化が観測され,ホールにより酸化反応が起こっている可能性が示唆された.ポリ(3-ヘキシルチオフェン)ではホール注入による変化は観測されなかった.MISデバイスを用いた本方法は有機材料のキャリアに対する安定性を検討する方法として役立つことがわかった.キャリアそのもののスペクトルを観測するには,赤外分光が役立つことがわかった.
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