2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16205006
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 正彦 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教授 (80241579)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 昇 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (90312660)
|
Keywords | 原子・分子物理 / (e,2e) / 電子運動量分光 / 電子衝撃イオン化 / 配向分子 / 同時計測法 |
Research Abstract |
電子運動量分光によれば、電子線コンプトン散乱で生成する非弾性散乱電子と電離電子双方のエネルギーと運動量の同時計測から、電離電子がイオン化前に分子内で持っていた運動量の分布(運動量空間波動関数の二乗)を分子軌道毎に得ることが可能となる。しかしながら、この手法では標的とする気相分子のランダムな空間配向により、得られる結果は空間平均した、波動関数形の動径分布に限定されてしまう。そこで、本研究は、この実験を分子座標系で行う「配向分子の電子運動量分光」へと発展させ、分子軌道毎の波動関数形を運動量空間において3次元観測を行ない、従来とは異なる視点から電子状態研究を行なう「運動量分光」の構築を目的とする。 本研究計画で自作ないし整備を必要とするものは、(1)チェンバー、(2)高速電子ビーム源、(3)電子検出用大型二次元検出器(直径120mm)、(4)同時計測回路、(5)超音速分子線源、(6)全方位角2・型球型アナライザー、および(7)イオン検出用二次元検出器である。 上記7つの機器は本研究計画初年度である平成16年度に設計製作を始め、平成17年度中には整備を終え、波動関数形の3次元観測装置システムとして完成させた。平成18年度には水素分子を対象とした実験を開始し、エネルギー分解能および運動量分解能は満足すべきものではないものの、分子の3次元波動関数形に関する予備的結果を世界に先駆けて得ることに成功した。 以上により本研究で目的とする「配向分子の電子運動量分光」の開発に成功し、現在はその確立を進めている。
|
Research Products
(7 results)