2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16205012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奈良坂 紘一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (50016151)
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Keywords | 遷移金属錯体 / 触媒反応 / ロジウム触媒 / ビニルシラン / オキシム |
Research Abstract |
遷移金属錯体化学の最近の発展はめざましく,有機合成化学に画期的な進展をもたらしているが,未だ実現困難な変換プロセスも多く残されている。本研究は二つの金属原子を分子内にもつ遷移金属複核錯体を用いて,新しい触媒的有機合成反応の開発を目的とする。 これまで遷移金属触媒を用いる反応の多くは単核金属錯体を用いているが,複核錯体を用いることで,その相乗効果による新しい反応性の発現が期待される。単核錯体と比べ複核錯体では,複数の中心金属を利用することができるため,多様かつ精密な反応設計が可能となる。本研究では,異なる金属を一つの錯体に含む異核複核錯体および同じ金属を複数有する同核複核錯体を利用する合成反応の開拓を行った。 1)遷移金属特有の反応性とルイス酸性を持つよう期待しロジウム-タングステン間をホスフィドで架橋した複核錯体を合成した。種々触媒反応を検討した結果,オレフィンのヒドロホルミル化やヒドロシリル化が1気圧の水素,一酸化炭素混合ガス中室温で進行することを明らかにした。またこの触媒を用いるオレフィンのヒドロホルミル化は,従来にない官能基選択性を示し,芳香族ハロゲン化物の存在下でも良好に進行することを示した。 2)ロジウムカルボニル二核錯体を用いると,ビニルシランやアシルシランのsp2炭素-ケイ素結合の活性化に活性を示すことを見いだした。これにより従来全く例のない位置選択的なビニルシランの触媒的アシル化が可能となり,α,β-不飽和ケトン類の新規調製法を開発した。従来のパラジウムを用いるビニルシランと有機ハロゲン化物の触媒的クロスカップリングでは,ビニルシランのケイ素原子上にヒドロキシ基の導入が必要であり,さらに高価なフッ化物塩を等モル量以上用いる必要があった。今回見いだした反応では,空気中安定に取り扱えるトリメチルシリル基を有するビニルシランを利用することができ,フッ化物塩などの活性化試剤をいっさい必要としない。 3)オキシム類やヒドラゾン類のsp^2窒素原子上で置換形式の反応が進行することを見いだし,有機マグネシウム化合物と銅化合物の組み合わせを用いて,第一級アミンや含窒素複素環化合物の合成の鍵反応を見いだした。
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Research Products
(6 results)