2004 Fiscal Year Annual Research Report
環境調和型新規低原子価ルテニウム錯体の創製と触媒機能の解明
Project/Area Number |
16205014
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
光藤 武明 京都大学, 工学研究科, 教授 (90026344)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 輝幸 京都大学, 工学研究科, 助教授 (20211914)
和田 健司 京都大学, 工学研究科, 講師 (10243049)
浦 康之 京都大学, 工学研究科, 助手 (40335196)
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Keywords | 環境調和型触媒 / ルテニウム錯体触媒 / スルフェンアミド / 炭素-炭素結合切断 / シクロブテノン / フェノール / オキソシクロヘキサジエニル |
Research Abstract |
本研究では、ルテニウム錯体が8-10族遷移金属の中で高いヘテロ原子親和性を示すとの観点から、ルテニウム錯体触媒に特徴的な極性小分子の高効率活性化を行い、副生成物の排出を伴わない環境調和型新規触媒的炭素-ヘテロ原子結合生成反応、およびヘテロ原子のルテニウムへの配位を利用した触媒的新規炭素-炭素結合切断反応を開発することを目的とする。 1.ルテニウム錯体触媒を用いるスルフェンアミド類のアルキンへの付加反応:新規多官能性アルケンの合成 本年度はまず、ルテニウム錯体触媒を用いるスルフェンアミド類のS-N結合切断を経るアルキンへの高位置及び立体選択的付加反応を開発した。例えば、スルフェンアミドPhSNEt_2とプロピオール酸メチルとの反応を、[RuCl_2(CO)_3]_2触媒存在下、DMF中、40℃、6時間行った結果、対応する付加物であるmethyl(2Z)-3-(diethylamino)-2-phenylthioprop-2-enoateが高位置および立体選択的に定量的に得られた(収率>99%)。本生成物は、同一分子内にS、N原子、およびエステル基を有する新規多官能性アルケンである。 2.ルテニウムおよびロジウム錯体触媒を用いるシクロブテノン類の新規炭素-炭素結合切断/炭素骨格再構築反応の開発 我々はこれまで、ルテニウム錯体触媒を用いる高選択的炭素-炭素結合切断/炭素骨格再構築反応の開発を行ってきた。本研究では、ルテニウムあるいはロジウム錯体触媒を用いるシクロブテノン類の炭素-炭素結合切断を経る新規合成反応を開発することを目的として種々検討を行った。その結果、シクロブテノン類の開環二量化反応による2-ピラノン誘導体、シクロブテノン類と2-ノルボルネン類との脱カルボニル化カップリング反応による双環シクロペンテン誘導体、さらに直接開環カップリング反応による双環シクロヘキセノン誘導体の新規触媒的高効率合成法の開発に成功した。 3.環境調和型新規低原子価ルテニウム錯体の創製、および新規2価ルテニウムフェノラート錯体の合成 我々が初めて合成した0価ルテニウム錯体、Ru(η^6-cot)(dmfm)_2(1)[cot=1,3,5-cyclooctatriene, dmfm=dimethylfumarate]は新規低原子価ルテニウム錯体を合成する上で極めて有用な出発原料であることを明らかにしているが、本年度はまず、我々が独自の方法で合成した一連の新規低原子価ルテニウム錯体の構造、および反応性に関する総説をまとめた。さらに、錯体1とフェノールとの反応を、反応温度110℃で3時間行った結果、η^5-シクロオクタジエニル配位子を有する新規2価ルテニウムフェノラート錯体(2,Ru(η^5-C_8H_<11>)(η^5-C_6H_5O))が収率74%で得られた。一方、反応温度130℃では、錯体2中のη^5-シクロオクタジエニル配位子が脱水素渡環したη^5-ペンタレニル配位子を有する新規フェノラート錯体(3,Ru(η^5-C_8H_9)(η^5-C_6H_5O))が収率76%で得られた。錯体3は、錯体1から錯体2を経由して生成している。錯体2、3の構造は単結晶X線構造解析により決定した。その結果、錯体2および3中のフェノラート配位子は、η^5-オキソシクロヘキサジエニル配位子とみなした方が適切であり、この構造はIR、^<13>C NMR、ならびにDFT計算からも支持された。
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Research Products
(7 results)