Research Abstract |
山中らは,(i)軽元素カゴ状構造物質の創製による新規超伝導体の実現を目指して、フラーレンC_<60>の3次元ポリマーの合成と物性評価を行った。3種類の結晶性3次元ポリマーの超高圧力合成に成功し、構造解析と電気伝導度、マイクロビッカース硬度の測定を行った。X線構造解析により、体心斜方格子と面心立方格子の3次元ポリマーの構造を明らかにした。(ii)層状窒化物に関連して,ZrNF1.2の合成には,酸素の混入が不可欠であることを明らかにした。フッ素原子を一部デインターカレーションすることにより,超伝導の発現を示唆するデータが得られた。(iii)α-TiNClへの有機塩基のインターカレーションによる超伝導体の合成と特性評価およびα-HfNBrからの硫黄架橋誘導体Hf_2N_2Sの合成とインターカレーションについても研究を進めた。 藤は、Li-ZrNCl,およびZrNClx配向試料の強磁場電気抵抗測定、および核磁気共鳴実験プローブを用いたラジオ波インピーダンス測定を行った。磁気抵抗測定および磁化率の異方性測定から,超伝導の異方性パラメータはγ>4と予想され、2次元的な超伝導が強く示唆された。 犬丸は,RF窒素ラジカル源を装備したPLDおよびMBEによりモリブデン窒化物の薄膜合成を検討した.バルク体でも合成例の少ないβ-Mo_2N(tetragonal)の結晶性配向膜の合成に成功し,Tc=5.2Kの超伝導体であることを見出した.また,MgOおよびAl_2O_3基板上に格子歪が小さく組成が精密に制御されたNaCl型MoN薄膜の合成にも成功した。この窒化物はこれまで,高いTc(29K)を有することが予測されていたが,本研究では,Tc=4Kが観測された。超伝導特性と膜の組成と格子の歪み,格子定数との関係を実験データに基づき議論した。 福岡は,超高圧装置を用いて,ゲルマニウムの新規カゴ状物質であるSrGe_<6-x>の合成に成功し,構造解析と電気伝導特性について調べた。
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