2005 Fiscal Year Annual Research Report
ルミネッセンスを利用した太陽電池用半導体材料の精密診断技術の開発
Project/Area Number |
16206002
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
田島 道夫 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部・宇宙探査工学研究系, 教授 (30216965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今泉 充 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 総合技術研究本部, 副主任開発部員
川北 史朗 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 総合技術研究本部, 開発部員
大島 武 日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門・半導体・高分子材料耐放射線性評価研究グループ, 研究員・副主任
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Keywords | ルミネッセンス / 太陽電池 / 結晶評価 / 放射線劣化 |
Research Abstract |
宇宙用・地上用の各種太陽電池の高効率化・長寿命化を図ることを目的とし,変換効率を低下させる原因となる欠陥の電子的性質・試料内分布状況を精密に評価することのできる,ルミネッセンスを利用した新しい診断技術を開発している.本年度は既有のフォトルミネッセンス(PL)ウエハーマッピング装置に選択励起PL法の機能を付加し,多接合(MJ)セル,窓層・バッファ層を持つCu(In, Ga)Se_2(CIGS)系セル,そして地上用太陽電池材料の最大シェアを占める多結晶シリコンの評価を行った. CIGS太陽電池は薄膜軽量であり,優れた耐放射線性を持つことから次世代宇宙用太陽電池として注目されている.本研究では,種々の製法で作製された多結晶CIGS太陽電池セルに対し陽子線を照射し,引き続き熱処理を施し,欠陥の発生・消滅状況を解析した結果,CIGS層だけでなくCdSバッファ層およびZnO窓層の陽子線照射による劣化現象を分離して捉えることに成功した. 多結晶シリコンのPL強度分布はマクロ的には少数キャリア拡散長分布やライフタイム分布とよく対応する.長拡散長領域では,単結晶Siと同様のPLスペクトルが観測され,良好な結晶性を有することが確認された.また短拡散長領域ではPL強度は減少し,顕微PLマッピングにおいて特徴的な筋状や面状の欠陥が現れ,筋状欠陥部分の低温スペクトルには転位起因の発光線が検出された.これら欠陥パターンは転位等の構造欠陥に重金属不純物等が吸着したものと推定され,拡散長劣化の原因となっていることが示唆された. また,可視光・近赤外光領域にそれぞれ専用の分光器とCCD, InGaAsダイオードアレイ検出器を有し,非球面鏡による光学系で構成された高感度・高速PLスペクトル装置を完成させ予備実験を終了した.従来の装置と比べ2桁以上の高感度性が確認できた.
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Research Products
(6 results)