2006 Fiscal Year Annual Research Report
生体微細構造観察用ウォルターミラー軟X線位相差顕微鏡の開発
Project/Area Number |
16206007
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
青木 貞雄 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 教授 (50016804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 淳一 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 助教授 (10361320)
渡辺 紀生 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 講師 (80241793)
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Keywords | X線顕微鏡 / 位相差顕微鏡 / ウォルターミラー / 軟X線 / 位相板 / X線結像光学 / レーザープラズマ / 生体試料 |
Research Abstract |
生体試料の微細構造観察のために、可視光に比べて2桁以上も波長の短い軟X線顕微鏡の利用を考え、分解能の向上を図ることにした。生体試料の観察においては、生体中の主成分である水と他の有機成分との画像コントラストを得ることが最も重要である。幸い、波長2.3nmから4.4nmに至る軟X線領域は水と有機物の吸収の差が1桁近くあり、画像のコントラストが得やすい。しかしながら、分解能が向上するにしたがい、吸収コントラストが低下してしまう。このコントラストの低下を補う方法として、位相差を画像化する方法を提案した。 光学系は、レーザープラズマ軟X線源、照明用集光ウオルターミラー(縮小率4分の1)、大気試料室、拡大用第1対物ウオルターミラー(拡大率32倍)、場合により拡大用第2対物ウオルターミラー(拡大率32倍)追加、位相板および検出器から構成される。 本年度は、高い分解能による実時間観察を目指し、2段の対物ミラーによって拡大光学系の倍率を1024倍(32x32)にした。更に、X線画像検出用CCDカメラのピクセルサイズを13ミクロンに更新し、光学系の分解能を20ナノメートルの水準に引き上げた。加えて、試料の3次元的な画像取得を可能にするために、高精度(1ミクロン以下)の試料回転台を整備した。位相差顕微鏡を実現するための位相板としてタンタルリング及びマイラー細帯を作成した。 CTの撮影と画像再構成の原理を利用して1024倍の高倍率光学系によるX線3次元像の撮影に成功した。分解能は焦点深度(10ミクロン弱)の関係からおよそ100ナノメートルを得た。試料には珪藻および自然乾燥のニワトリ赤血球を用いた。 軟X線位相差顕微鏡は、直接光(0次光)と回折光との間に4分の1波長分の位相差を与え、透明物体の画像コントラストを向上させる手法である。厚さ3ミクロン線幅500ミクロンのマイラー細帯を位相板として利用した結果、5ナノメートルの軟X線を用いてポリスチレンラテックス球(直径約2.8ミクロン)の位相差顕微鏡像を得ることに成功した。
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Research Products
(6 results)