2006 Fiscal Year Annual Research Report
電力機器絶縁における自然界共存物質の極限的利用に関する基礎研究
Project/Area Number |
16206027
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
日高 邦彦 東京大学, 大学院工学系研究科, 教授 (90181099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊田 亜紀子 東京大学, 大学院工学系研究科, 助教授 (20313009)
松岡 成居 東京大学, 大学院工学系研究科, 助手 (10114646)
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Keywords | SF6 / 代替ガス / V-t特性 / 急峻方形波 / CF3I / ストリーマ / 放電シミュレーション / シャックハルトマン法 |
Research Abstract |
本研究は、電力設備・機器において、低環境負荷である物質、例えば自然界共存物質を使用し、なおかつ高い絶縁信頼性と省資源・コンパクト化を実現できる最適ガス絶縁設計指針の提案を目指して進められた。 昨年度に引き続き、シャック・ハルトマン型レーザ波面測定法による気体放電中の電子密度計測法の開発を進めた。本計測手法は、マイクロレンズアレイによって輝点を形成し、その動きから波面の位相状態を求める手法であるが、弱電離空間への適用に際しては測定感度を3桁程度の向上が不可欠である。そこで、マイクロレンズアレイを2枚用いて擬似的に長焦点距離を実現するシステムを考案し、測定感度を従来に比べ2桁向上するまでに至った。 同様に気体Kerr効果による非接触電界測定法の開発においては、空間電荷存在下におけるKerr効果を検討した結果、空間電荷が存在しない大気圧空気におけるKerr効果と大きく異なった振舞いをみせていることを見出した。この現象の原因として、イオンのKerr定数が中性気体分子のKerr定数に比べて格段に大きいこと、イオン存在下では外部電界強度とは無関係にイオン密度の関数として複屈折が生じるということが考えられ、気体Kerr効果による新たな空間電荷測定法の可能性を示唆している。 SF_6ガスに変わる低環境負荷絶縁ガスを見出すために、温暖化係数がCO_2並みに小さく、また、絶縁性能がSF_6ガスに匹敵するCF_3Iについて、昨年度に引き続き検討を進めた。異なる電界分布下で絶縁特性がどのように変化するかを調べた結果、準平等電界においてはCF_3IガスはSF_6ガスの1.2倍程度の火花電圧を示すが,極端な不平等電界下ではCF_3Iガスの火花電圧はSF_6ガスの0.7倍程度となること、および、電界利用率が0.3〜0.4の範囲でCF_3IガスとSF_6ガスの絶縁特性がほぼ等しくなることを見出した。実用機器では電界利用率がほぼ0.4以上になるよう設計されるため、CF_3Iガスの適用可能性を示唆できる。
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Research Products
(6 results)