2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16206038
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | NTT Basic Research Laboratories |
Principal Investigator |
小野 行徳 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子電子物性研究部, 主任研究員 (80374073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 庸夫 北海道大学, 大学院・情報エレクトロニクス専攻, 教授 (90374610)
猪川 洋 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子電子物性研究部, 主幹研究員 (50393757)
藤原 聡 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子電子物性研究部, 主幹研究員 (70393759)
西口 克彦 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子電子物性研究部, 研究員 (00393760)
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Keywords | ドナー / 単一電子 / ドーパント / アクセプタ / 単電子ターンスタイル |
Research Abstract |
本研究は、シリコン中のドナー(あるいはアクセプター)レベルを利用した単一電子操作技術の確立を目的としている。16年度は、主に以下の成果があった。 (1)リンドナーの荷電状態制御の実証 Silicon-on-insulator (SOI)基板のシリコン層中にリンをイオン打ち込みした埋め込みチャネル型MOSトランジスタを作製した。同トランジスタにおいて、20ケルビンでシリコン層の電界強度を制御することにより、リンドナーの荷電状態を系統的に制御でき、かつ、その状態をMOSトランジスタの閾値変化により検出できることを初めて実証した。この結果は、シリコン中のドナーの電荷捕獲放出を外部電圧で制御できることを実験的に示すものであり、本研究の以降の主要な実験の基礎となるものである。本成果は、固体素子材料国際会議にて口頭発表し、JJAP特集号へ投稿し、採択された(Ono et al.;掲載は次年度)。その他、本申請の内容に関して春季MRSにて招待講演を行った。 (2)シリコン単電子転送デバイスのデバイス構造と動作条件の最適化の検討 ドナーレベルに単一の電子を転送するための手法の1つとして、単電子転送ポンプや単電子ターンスタイルといった単電子転送デバイスの利用を検討している。今年度は、これらのデバイスに関して、まず、その転送誤りメカニズムを理論的に考察し、転送誤り率の定式化を行った。本成果をJAPに投稿し採択された(Zimmerman et al)。 また、転送した電子を検出するための手法も検討し、まず、その原理確認を行った(JJAP採択:Kim et al.)。単電子ターンスタイルとこの検出デバイスを一体化したデバイスを試作し、その動作に成功した。同成果は、APLに投稿、採択され(Nishiguchi et al.)、同号巻の表紙にも掲載された。 さらに、単電子ターンスタイルの構造と動作条件を改良することにより、室温での単電子転送を実証した。高温での転送は、すなわち、転送精度の向上を意味しており、非常に重要な結果である。同成果は、IEDMにて口頭発表を行い、また、報道機関向けのtipsheetにも掲載された。 (3)CMOSプロセスを用いた単電子転送デバイスの作製 ドナーレベルを用いた単電子制御デバイスは、最終的にはシリコンMOS回路との混載を念頭において研究を行っている。このため、外部ファンドリーを用いたCMOSプロセスによる単電子転送デバイス実現可能性を調べるために、試作を発注し、特性のデバイス構造依存性等を調べた。この結果は、MNCにて口頭発表された。また、JJAPの特集号に投稿し、採択された(Clement et al.:掲載は次年度)。 (4)単一電荷転送に関するレヴューをJAPに掲載した。
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Research Products
(7 results)