2006 Fiscal Year Annual Research Report
放射光と浮遊熔解法による過冷却液体およびその凝固現象の研究
Project/Area Number |
16206062
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
七尾 進 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (60013231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗林 一彦 宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 教授 (70092195)
渡辺 匡人 学習院大学, 理学部, 助教授 (40337902)
横山 嘉彦 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (00261511)
岡田 純平 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助手 (90373282)
正木 匡彦 宇宙航空研究開発機構, 宇宙環境利用科学研究系, 助手 (00360719)
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Keywords | 金属物性 / X線 / 融体 / 原子構造 / 熱物性 |
Research Abstract |
本研究の目的は静電浮遊炉を高輝度放射光(SPring-8)に設置し、高温融体・過冷却融体の構造と物性に関する研究を行うことである。昨年度までにX線回折用の静電浮遊炉が完成し、本年度はシリコンを初めとする高温融体のX線回折測定に成功した。 本年度は、新たに高分解能コンプトン散乱測定用の静電浮遊炉及び高分解能X線非弾性散乱測定用を作製し、種々のそれぞれシリコン融体について高分解能コンプトン散乱および高分解能X線非弾性散乱の測定を行った。また、昨年度に引き続き、Al-Pd-Mn準結晶融体をはじめとする種々の融体の研究をおこなった。 本年度の研究の中心はシリコン(Si)に関するものである。 シリコンの固体はダイヤモンド構造を持つ配位数4の典型的な半導体であるが、Si融体は配位数5.5〜6の金属である。通常、液体金属の配位数は11であることが知られているが、これに比べるとSi融体の配位数が極端に小さい。このため、Si融体は構造と電子物性の関係がアンバランスな、非常に特異な液体金属であると認識されてきた。Si融体のコンプトン散乱測定により、電子運動量密度分布が詳細に観測され、Si融体中に共有結合が存在することが判明した。無論、高温の液体金属中に固体のような長寿命の共有結合が存在することはなく、それらは極めて短寿命で頻繁に生成消滅を繰り返していると考えられる。最近の第一原理計算によれば、Si融体中に数十フェムト秒の短い寿命を持つ共有結合が存在するという予測があるが、我々の結果はこれを裏付けるものである。 Si融体は融点下300Kまで過冷することが知られている。これらの深い過冷却Si融体は、融点近傍の通常のSi融体とは異なる構造・物性を示す可能性が理論的に考えられてきたが、過冷却状態を長時間保持することは困難であり、これまで殆ど研究が行われてこなかった。今年度作製した高分解能X線非弾性散乱測定用静電浮遊炉では、融点下170Kの過冷却状態を約1時間保持することが可能となり、過冷却Si融体の高分解能非弾性散乱測定に成功し、フォノン分散関係を詳細に調べることができた。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Compact Electrostatic Levitator for diffraction Measurements with a Two Axis Diffractometer and a Laboratory X-ray Source2007
Author(s)
T.Masaki, T.Ishikawa, P-F Paradis, S.Yoda, J.T.Okada, Y.Watanabe, S.Nanao, A.Ishikawa, K.Higuchi, A.Mizuno, M.Watanabe, S.Kohara
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Journal Title
Review of Scientific Instruments 78
Pages: 026102-1 to 3
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