2004 Fiscal Year Annual Research Report
製造プロセスで発生する汚れの付着および脱離の分子機構と洗浄操作の高効率化
Project/Area Number |
16206076
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中西 一弘 岡山大学, 工学部, 教授 (90026584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今村 維克 岡山大学, 工学部, 助教授 (70294436)
今中 洋行 岡山大学, 工学部, 助手 (10379711)
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Keywords | 付着 / カルボキシル基 / アミノ基 / ステンレス鋼板 / 希少金属酸化物 / 高感度反射法 / 吸着等温式 / 付着の配向 |
Research Abstract |
本年度は、主に、金属固体表面への付着に関与すると考えられる官能基であるカルボキシル基とアミノ基に着目して、その寄与を種々の手法を用いて解析した。吸着質として、有機カルボン酸、有機アミン、合成オリゴペプチド、タンパク質及びタンパク質のプロテアーゼ消化ペプチド断片を使用した。固体表面としてはステンレス(S6L)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)を用いた。カルボキシル基及びアミノ基の数と位置が異なるカルボン酸及びアミン類の金属表面への吸着挙動について検討した結果、酸性条件下(pH3〜6)において、2つ以上のカルボキシル基を持つカルボン酸の吸着には、不可逆吸着と可逆吸着の2つの吸着形態が存在することが示された。また、吸着等温線は、不可逆吸着を考慮した変形Langmuir式でよく表現できた。最大不可逆吸着量、最大可逆吸着量及び平衡定数の値に及ぼすpH、イオン強度、金属表面の等電点、カルボキシル基の数などの影響を詳細に検討した。その結果、吸着質の金属表面への吸着現象には、吸着質と表面間に働く静電気的相互作用だけではなく、吸着分子間の反発、正に帯電した金属表面上でカルボキシル基の解離の誘起現象などが関与することが示唆された。FTIR解析及び分子力学計算によって推定した結果,フタル酸は、表面にほぼ垂直に、一方メリト酸は傾斜状態で配向して付着することがわかった。さらに、等電点以上のpHにおける金属表面への吸着現象には、吸着質の解離カルボキシル基による表面正電荷の誘起が関与することが示唆された。遊離及び付着した状態のタンパク質をプロテアーゼで分解し、その生成物分布の違いから、付着に関与するペプチド部位には酸性アミノ酸が複数存在することが確認された。一方、アミノ基を含む吸着質と負に帯電した表面間に作用する静電気的相互作用は弱く、その吸着形態は可逆的であり、固体表面の等電点以下のpHではほとんど吸着しなかった。
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