2004 Fiscal Year Annual Research Report
形態形成因子レセプターのリガンド認識機構-その多様性と普遍性の構造的基盤-
Project/Area Number |
16207006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高木 淳一 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (90212000)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
禾 晃和 大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (40379102)
岩崎 憲治 大阪大学, 超高圧電子顕微鏡センター, 客員助教授 (20342751)
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Keywords | 形態形成因子 / 受容体 / リガンド / 構造生物学 / X線結晶解析 / リーリン / 電子顕微鏡イメージング / LDLレセプター |
Research Abstract |
本研究は、形態形成因子リガンドのレセプターによる認識に焦点をあて、まず相互作用の基本単位を蛋白質化学的に調べ上げ、そして最終的にはもっとも物理化学的にsolidな情報である立体構造を決定することで、これら生物学的に重要な現象の化学的記述を目指すものである。具体的には、形態形成因子リガンドとレセプターのペアを多数取り上げて、(1)リガンド側のレセプター結合部位(すなわち最小活性フラグメント)の特定、(2)レセプター側のリガンド結合部位の特定、(3)細胞上での複合体形成とシグナリングの際の各分子の挙動の解析、そして(4)複合体のX線結晶解析による構造決定という所まで、4年間の研究期間で目指すものである。 本年度はまずレセプター・リガンド系として、Reelin/ApoER2のペアに焦点を絞り研究した。Reelinは分子量約40万の巨大な糖蛋白質で脳に特異的に発現し、大脳皮質や海馬の神経層構造の形成に必須の細胞外因子である。全長のReelinコンストラクトから、様々な長さのフラグメントを293T細胞に一過性に発現させ、上清中に放出されるReelin蛋白質を分析した。その結果、8つあるリピート構造(いわゆるReelinリピート)のうち、5番目と6番目のものを含む断片にレセプター結合活性が残り、それ以上欠失させると活性が消失することをつきとめた。レセプター側のフラグメント化も進め、リガンド結合部位がN末端のLAリピートの最初の3つに存在することを突き止めた。また、レセプター結合活性は無いが、3番目のリピート(R3)が単独で極めて良く発現することがわかり、この蛋白質を発現する安定細胞株を樹立した。その大量培養上清からR3蛋白質を精製し、結晶化を試みた結果、構造解析に耐える良品質の結晶を得ることができた。すなわち、初年度においてすでに4つの目的のうち2つ半を達成するという驚くべきペースで研究を遂行することが出来た。
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Research Products
(6 results)