2004 Fiscal Year Annual Research Report
線虫C.elegansの行動制御の分子生物学的解析
Project/Area Number |
16207012
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
桂 勲 国立遺伝学研究所, 構造遺伝学研究センター, 教授 (00107690)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 幸太郎 国立遺伝学研究所, 構造遺伝学研究センター, 助手 (20370116)
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Keywords | 線虫C.elegans / 行動 / 学習 / 変異体 / 分子生物学 / 飢餓 / 餌 / 忌避物質 |
Research Abstract |
餌/飢餓や忌避物質が線虫C.elegansの行動を制御する機構を解明するために、以下の研究を行った。 (1)匂い物質ブタノンと餌による学習:ブタノンと餌による学習が異常なolrn-1(ut305)変異体で、ブタノンを受容するAWC感覚神経でolrn-1野生型cDNAを強制発現させると学習が正常になることを見つけた。左右一対のAWC感覚神経細胞には遺伝子発現に違いがあるが、olrn-1(ut305)変異体では違いがなく、これが学習異常の原因らしいことを見つけた。もう一つの学習変異体olrn-2(ut306)の原因遺伝子をクローニングした。 (2)腸からの飢餓信号による感覚や成長の制御:飢餓信号を抑制するflr-4遺伝子は、腸・咽頭峡部・AUA神経で発現するが、腸のみの発現で既知の表現型が野生型になることを確認した。飢餓信号を促進するflr-2遺伝子と蛋白質レベルで相互作用する遺伝子を同定し、その欠失変異を分離して、それがflr-2変異よりは弱いが似た表現型を示すことを見つけた。 (3)耐性幼虫形成制御変異体を用いた環境悪化信号の解析:多剤薬剤耐性蛋白質をコードするmrp-1遺伝子の変異体は、unc-31(CAPS)変異の存在下で耐性幼虫制御が異常になる。この遺伝子が耐性幼虫制御系の中のTGF-β信号系やcGMP信号系で働くのではないこと、insulin信号系の遺伝子と強く相互作用することを明らかにした。 (4)忌避物質による学習や行動の変化:高浸透圧による前処理は高浸透圧忌避を抑制するのに対し、忌避物質(オクタノール、ノナノン)での前処理はそれらの物質の忌避を促進させることを発見した。 (5)統合回路や並列回路の遺伝学の理論:スイッチ回路の理論を並列経路まで拡張し、二重変異体でのみ表現型が見られる耐性幼虫形成制御異常の機構解明に応用できるか検討した。
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Research Products
(1 results)