2006 Fiscal Year Annual Research Report
線虫C.elegansの行動制御の分子生物学的解析
Project/Area Number |
16207012
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
桂 勲 国立遺伝学研究所, 構造遺伝学研究センター, 教授 (00107690)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 幸太郎 国立遺伝学研究所, 構造遺伝学研究センター, 助手 (20370116)
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Keywords | 線虫C.elegans / 行動 / 学習 / 変異体 / 分子生物学 / 飢餓 / 餌 / 忌避物質 |
Research Abstract |
1.匂い物質ブタノンと餌による学習:野生型線虫に餌の存在下でブタノンを嗅がせるとブタノンへの走化性が促進されることを発見し、「ブタノン促進」と名づけて研究している。本年度は、これがブタノンと「餌の匂い」でもある程度は促進されることを発見した。この結果に以前に得られたブタノン促進に不要な遺伝子の実験結果を合わせると、餌の信号も、少なくとも一部は餌の匂いとして、AWC感覚ニューロンから入るらしいことが示唆された。ブタノン促進について、これまでの成果をまとめて論文発表した。2.腸からの飢餓信号による感覚や成長の制御機構:昨年度までに、FLR-1イオンチャネルのC末端細胞内ドメイン(予想リン酸化部位を多数もつ)を欠失させると、FLR-1機能欠損とは反対に脱糞周期が異常に長くなることを発見していた。本年度は、いろいろな大きさの欠失変異を作成して、どの部分が野生型の脱糞周期に必要かを決めた。また、機能を低下させるとこの長周期の表現型を抑圧する遺伝子をRNAiを使っていくつか発見した。さらに、クラス2flr変異の遺伝子flr-2と相互作用する遺伝子として発見されたZK20.1遺伝子の機能欠損が、ある変異バックグラウンドで脱糞周期を長くすることを示した。flr-6,flr-7の原因遺伝子のクローニングを継続した。3.耐性幼虫形成制御変異体を用いた環境悪化信号の解析:既知の変異の中で二重変異にすると構成的に耐性幼虫形成を行う変異の膨大なデータを蓄積していたが、それを見直していくつかの規則を発見した。4.忌避物質による学習や行動の変化:忌避物質であるオクタノールやノナノンから逃げる虫の軌跡を記録し解析したところ、オクタノールとノナノンでその特徴が異なることを見つけた。5.統合回路や並列回路の遺伝学の理論を継続して研究した。
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Research Products
(1 results)