2007 Fiscal Year Annual Research Report
線虫C. elegansの行動制御の分子生物学的解析
Project/Area Number |
16207012
|
Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
桂 勲 National Institute of Genetics, 構造遺伝学研究センター, 教授 (00107690)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 幸太郎 国立遺伝学研究所, 構造遺伝学研究センター, 助教 (20370116)
|
Keywords | 線虫C. elegans / 行動 / 学習 / 変異体 / 分子生物学 / 飢餓 / 餌 / 忌避物質 |
Research Abstract |
1.ブタノンと餌の同時体験によるブタノン化学走性の促進という行動可塑性(学習)を研究した。これが異常な変異体で過去に解析したものは、AWC嗅覚ニューロンの分化が異常なものと感覚繊毛が異常なものだったので、この可塑性に直接関与する分子がわからなかった。本年度新たにクローニングした変異体は、嗅覚受容体と共役するGタンパク質αサブユニット遺伝子odr-3のミスセンス変異体だった。odr-3のナンセンス変異体はブタノンの嗅覚に欠陥を示し、ODR-3がブタノン信号伝達を行っていることが示されている。これに対し、この変異体はブタノンの嗅覚は正常で可塑性だけが異常だった。この変異体のODR-3変異部位がブタノン信号伝達の制御部位である可能性がある。2.腸からの飢餓信号による感覚や成長の制御機構:FLR-4タンパク質キナーゼのキナーゼ欠損型変異遺伝子がflr-4変異体の成長速度遅延を正常に戻すことを発見した。クラス1flr遺伝子群による成長速度制御は、FLR-4キナーゼによるリン酸化に依存しない可能性が強い。flr-6, flr-7の原因遺伝子のクローニングを継続した。3.耐性(dauer)幼虫形成制御変異体を用いた環境悪化信号の解析:既知の変異の中で二重変異にすると構成的にdauer幼虫を形成する変異の多量のデータや、種々の変異バックグラウンドでの制御分子DAF-7の発現データを整理し、論文作成を開始した。4.忌避物質による学習や行動の変化:忌避物質ノナノンを嗅がせるとノナノンの忌避が促進される現象にドーパミンが関与していることを見つけた。5.dauer欠損性変異とdauer形成に関して野生型の変異の二重変異体がdauer構成性を示すという不思議な現象を説明できる並列回路の遺伝学の理論を作った。
|
Research Products
(10 results)