2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16207015
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
黒岩 厚 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20134611)
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Keywords | 食道呼吸器官 / トランスジェニックマウス / Fgf10 / 転写調節 / MAPK / Ets / 背腹極性 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
1.Fgf10発現調節に関わるシスエレメントの同定:胚芽間充織特異的発現を制御するシスエレメントを同定するため、ヒト、マウスおよびニワトリ間で塩基配列の保存性が高く全エクソンを含む領域約100Kbを7つの断片に分け、トランスジェニックマウスを用いて解析を行った。この領域には3つの独立した肢芽エンハンサーや上顎、鰓弓・心臓、耳胞、中・後腎エンハンサー等が同定されたが、肺芽エンハンサーは同定されなかった。肺芽エンハンサーは用いている200Kb BACクローン中に存在することは二種のレポーター構築を用いて確認されているので、今回用いたDNA断片中に存在しないか、複数の領域の組み合わせが必要である可能性があり、今後この可能性に基づいて研究を展開する。 2.組織間相互作用を介した発現調節の解析:Fgf10発現の維持には、組織間相互作用因子としての他のFGFシグナルが必要であると推測されている。Fgf10プロモーターを含む上流6.6Kb領域には、FGFシグナルカスケードの下流で機能するEts転写因子ファミリーの一員であるErmの作用点があることを見いだした。ErmはFgf10転写を促進し、さらにMAPKカスケードの活性化はこれと相乗的に作用することを見いだした。 3.食道呼吸器官領域で背腹で異なる発現を示す遺伝子の網羅的解析:食道呼吸器官領域の腹側で肺芽を誘導するという位置特性決定に関わる因子を同定するため、マイクロアレイ法を用いた網羅的解析を試みている。この準備段階としてマウス9.5日胚からこの領域から背側および腹側組織を分離調整しRNAの抽出を行った。これらのRNAについてリアルタイムPCRを用い、背腹のマーカーとしてNkx2.1mRNAの存在量を比較したところ10倍以上の差があり、マイクロアレイ解析に使用できる質が確保されていることが判明した。今後このRNAを用いて網羅的解析を進行させる。
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Research Products
(2 results)