2004 Fiscal Year Annual Research Report
分子系統と染色体3次元核内配置からみたヒトを含む霊長類の進化
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16207016
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
宝来 聰 国立大学法人総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 教授 (40126157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田辺 秀之 国立大学法人総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 助教授 (50261178)
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Keywords | 分子系統 / 染色体 / 霊長類 / ミトコンドリアDNA / 染色体テリトリー / 核内配置 / ゲノム進化 / 3D-FISH法 |
Research Abstract |
現在、霊長目には200以上の種が知られているが、種分化や系統進化の詳細は未解決な部分が多く残されている。本研究は、(1)ミトコンドリア(mt)DNA全塩基配列を用いた分子進化学的解析、並びに(2)染色体テリトリーの3次元核内配置解析、を併行して実施し、両データを統合した総合的な考察を目標とする。(1)に関しては、原猿亜目キツネザル下目5種、ロリス下目3種、メガネザル下目1種、真猿亜目の新世界ザル1種、計10種のmtDNA全塩基配列を決定し、これらに既報告の霊長目、哺乳類数種のデータを加えた36種の塩基配列をアラインメントし、塩基組成、非同義置換/同義置換比(Ka/Ks)などの解析を含め、近隣結合法、最尤法による分子系統解析を行った。その結果、近縁目であるツパイ、ヒヨケザルに対する霊長目の単系統性と、メガネザルと真猿類との近縁関係が示唆され、未解決であった原猿類のキツネザル下目、ロリス下目の系統について、それぞれ単系統で進化してきたことが示唆された。また旧世界ザルに比べ、原猿類、メガネザル、新世界ザルのタンパク質コード領域のコドン第3ポジションの塩基組成にCの減少とTの増大が見られ、複合体IVサブユニットのKa/Ksは他の複合体より小さい値となり、機能的により強い制約があることが示唆された。また、rRNA領域とタンパク質コード領域のコドン第1、第2ポジションのトランスバージョンを用いた系統解析から、系統樹再現性の確率値が高値となった。(2)に関しては、霊長類各種における3D-FISH法の実験条件の検討を行い、蛍光シグナルの検出条件等の確立を行った。現在、テナガザル2種、旧世界ザル2種におけるヒト2番染色体の生成機構について、2番染色体短腕および長腕特異的ホモロガス染色体領域を用いた3D-FISH法により、転座染色体の由来が種分化に伴う相対核内配置の変化と関連するかどうかを検討中であった。
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Research Products
(1 results)