2006 Fiscal Year Annual Research Report
心理社会的ストレス度ストレス耐性低下度と機能的潜在性低下に関する生理人類学的研究
Project/Area Number |
16207018
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 和彦 九州大学, 健康科学センター, 教授 (60183688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入江 正洋 九州大学, 健康科学センター, 助教授 (00248593)
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Keywords | 心理社会的ストレス / ストレス耐性 / 生理人類学 / IMPS / IMST / 肥満 / インスリン抵抗性 / メタボリック症候群 |
Research Abstract |
公立学校教職員約13万6千人のうち、2004年11月〜2005年3月に入院ドック健診を受けた1941人を対象に、IMPSとIMSTを用いてストレス度(IMPSスコア)とストレス耐性低下度(IMSTスコア)を評価し、それらと身長、体重、BMIなどの身体計測値、血液検査データなどとの関係性を調べた。1499人が調査票に回答し、薬物使用中の者など298人を除く1201人を解析した。男性(684人)の平均年齢は47.1歳、女性(517人)は47.5歳であった。男性ではIMPSスコアが高くなると、体脂肪率とHbA1cが高くなる傾向があった。IMPSスコアと体脂肪率の関係性は喫煙や飲酒の影響を受けたが、IMPSスコアとHbA1cの関係性は影響を受けなかった。女性ではrMPSスコアが高くなると中性脂肪が高くなる傾向があった。この関係性は飲酒や運動など、ライフスタイルの影響を受けた。この結果は、IMPSスコア(IMPS-measured stress score)と内臓肥満、インスリン抵抗性との問に関係性があることを示す。それは即ち、IMPSによるストレス度評価法が一定の妥当性を有することを示唆する。 1201人を対象に、ストレス度とストレス耐性の関係性を調べた。男女とも、IMSTスコアとIMPSスコアに正の相関関係を認めた。IMSTの20質問項目中、男性では17項目で、女性では14項目で"はい"と答えた者は"いいえ"と答えた者よりストレス度が低かった。ストレス耐性低下度が上がると男性ではIMPSの40質問項目中38項目で、女性では39項目で"はい"と答える者が増える傾向があった。stepwise regression modelにより、ストレス度に寄与するIMSTの項目として男性で8項目、女性で4項目を見いだした。この結果は、よきライフスタイルやソーシャル・サポートなどがストレス度を下げる可能性のあることを示唆する。 約20人の学生・教職員を対象にIMPSスコアと唾液アミラーゼ活性の関係性を調べた。その結果、IMPSスコアが上がると唾液アミラーゼ活性が高くなる傾向を認めたが、有意差はなかった。有意差がなかった理由の一つとして、IMPSスコアが比較的長期のストレスを反映すると考えられるのに対し、唾液アミラーゼ活性は比較的短期のストレスを反映することが考えられる。
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