2005 Fiscal Year Annual Research Report
鱗翅目昆虫の性決定の分子機構-特に性染色体によるdsx遺伝子のスプライシング制御
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16208006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
嶋田 透 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (20202111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 広明 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 助手 (80222660)
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Keywords | doublesex / W染色体 / 性特異的スプライシング / 染色体異変 / 限性品種 / SAGE / DNAメチル化 / カイコとクワコ |
Research Abstract |
1.培養細胞を用いた系により,Bmdsxのスプライシング制御機構を解析した結果,性特異的イントロンの中に性特異的スプライシングに必要なシス因子があることを発見した。そのシス因子には何らかのタンパク質が結合している(理化学研究所との共同研究)。 2.卵巣における若い分化ステージのシストサイトには,ゲルのEtBr染色で可視化できるほど多量の低分子RNAが存在する。このRNAをクローニングして配列決定した結果,多くの種類があったが,転移因子様配列に相同性を示すものが多かった。Bmmar6の部分配列をもつ低分子RNAがあったので,その標的配列(Bmmar6)におけるDNAメチル化の程度を雌雄で比較した。その結果,雄においてはシトシン塩基の約90%がメチル化されていたのに対して,雌では60%程度のメチル化頻度であった。すなわち,DNAメチル化の頻度には明瞭な雌雄差があった。 3.カイコのW染色体のRikishi領域にはジンクフィンガータンパク質をコードする遺伝子z1およびz20が存在する。クワコにおける相同領域を,唯一知られている共通配列18G08を用いてfosmidライブラリーを探索してクローン化した。クワコの18G08周辺の構造を解析したところ,18G08を含む約2kbは相同性があったが,その外側はまったく似ておらず,クワコのW染色体にはz1もz20も存在しないことが明らかになった。 4.Z染色体の部分的な欠失をヘテロで有するようなZZ雄個体では,成虫の羽ばたき行動が喪失する。解剖の結果,胸部の縦走筋と背腹筋が不完全になる形態異常が観察された。この欠失の領域には間接飛翔筋の形成に関わる遺伝子を含んでいると推定される。正常なZW雌個体では正常に筋肉が形成され羽ばたきも正常なので,この欠失領域の遺伝子では遺伝子量補正が行われているものと想像される。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] The female-killing chromosome of the silkworm, Bombyx mori, was generated by translocation between the Z and W chromosomes.2006
Author(s)
Tsuguru Fujii, Nobuhiko Tanaka, Takeshi Yokoyama, Osamu Ninaki, Toshikazu Oshiki, Akio Ohnuma, Yataro Tazima, Yutaka Banno, Masahiro Ajimura, Kazuei Mita, Motoaki Seki, Fumi Ohbayashi, Toru Shimada, Hiroaki Abe
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Journal Title
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