2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16208007
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柳沼 利信 名古屋大学, 大学院生命農学研究科, 教授 (60135332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新美 輝幸 名古屋大学, 大学院生命農学研究科, 助手 (00293712)
池田 素子 名古屋大学, 大学院生命農学研究科, 助教授 (20262892)
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Keywords | カイコ / 胚休眠 / 休眠ホルモン / 休眠ホルモン受容体 / トレハラーゼ / ドーパミン受容体 |
Research Abstract |
休眠ホルモン(DH)は食道下神経節で合成され、血液に放出され発育卵巣に作用する。これらの卵は嚢胚期で休眠に入る。DHの放出は脳からの指令により調節されている。ドーパミンを非休眠卵産生蛹に投与すると、その蛾は休眠卵を産むようになることから、DHの放出にドーパミン・シグナルが係わると推測された。このシグナルは受容体を介して伝達されるので、カイコの脳・食道下神経節からドーパミン受容体のcDNAを単離した。HEK細胞に発現させた所、ドーパミンに対してのみ細胞内cAMPの増加が認められた。これらcDNAはD1タイプのドーパミン受容体をコードするものであり、それぞれをBmDopR1とBmDopR2と命名した。これらは、カイコ脳のキノコ体で発現していた。脳キノコ体付近の組織を削除すると、休眠性・非休眠性が変化する実験があることから、DHの放出にはキノコ体が係わる可能性が考えられた。カイコではキノコ体の研究はほとんどないので、DopR遺伝子のプロモーターやエンハンサー領域の同定により、キノコ体の同定が明らかになると考えられる。 DH受容体の機能解析の一助として、DH受容体をキイロショウジョウバエに強制発現させた所、幼虫期で死亡する個体が多発した。DHペプチドに類似したキイロショウジョウバエのFXPRLアミドペプチドがカイコDH受容体を介してキイロショウジョウバエの発育に重要な役割を担っていることを示している。RXPLRアミドペプチドが多様な機能を有することを示す一例である。 DHシグナルは卵母細胞に作用し、数時間内にトレハラーゼ遺伝子発現を促進させる。これまで単離した2種類のトレハラーゼ遺伝子構造を比較し、5'-上流域の-400塩基付近に共通する配列CGCGCTAAGTが見出され、シスエレメント候補と考えられた。 DH放出や休眠開始に係わる遺伝子を網羅的にスクリーニングする系として、エンハンサートラップ法やジーンサーチ法が有効であるが、キイロショウジョウバエやナミテントウを用いて検討し、形質転換カイコの作出法を改良した。今後、これらの方法を用いて、網羅的機能解析がカイコで可能になると思われる。
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Research Products
(6 results)