2006 Fiscal Year Annual Research Report
イソキノリンアルカロイド生合成系遺伝子ネットワークの全容解明とその応用
Project/Area Number |
16208011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 文彦 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (10127087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊福 健太郎 京都大学, 生命科学研究科, 助手 (50359783)
吉松 嘉代 独立行政法人医薬基盤研究所, 薬用植物資源研究センター筑波研究部, 育種生理研究室長 (20184418)
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Keywords | イソキノリンアルカロイド / 代謝ネットワーク / 包括的転写制御 / 代謝工学 / 一過的RNAi |
Research Abstract |
1)イソキノリンアルカロイドの一つベルベリンを高生産するオウレン培養細胞におけるESTの包括的な解析に基づき、これまで同定できていなかったTHBO遺伝子を同定した。なお、この活性は大腸菌や酵母では検出できず、ハナビシソウ形質転換細胞においてのみ検出された。一方、レチクリンからマグノフロリンに至る生合成系酵素として新規なP450を同定するとともに、CNMTが合成に関与する可能性を示唆した。さらに、オウレンより単離したNCS/PR10を過剰発現したハナビシソウ形質転換細胞を作成し、NCSの過剰発現により代謝プロファイルに変化が生じる可能性を示唆した。2)オウレン植物体および培養細胞から単離したプロモーター配列の配列を決定し、その多型が逆位反復配列やレトロトランスポゾンの挿入によることを明らかにした。また、プロモーター:LUCレポーター遺伝子を用いて発現制御に重要と考えられる領域を推定した。3)オウレンSMT遺伝子を導入したハナビシソウ形質転換細胞の解析を進め、SMT反応によって生成したtetrahydrocolumbamineが内在の生合成酵素によって10-hydroxycherythrineに変換されている過程を、新たに出現してきた化合物群の構造決定により推定した。また、形質転換細胞における代謝産物プロファイルをクラスター解析することにより、代謝系の多様化を可視化できること、さらには、同解析が代謝ネットワークの解析に有効であることを明らかにした。一方、4' OMT遺伝子を過剰発現させたセリバオウレン植物体を閉鎖温室内で栽培し、個体『レベルでの代謝工学の影響を解析した結果、GUS導入体及び野生型に比べて葉及び根のアルカロイド含量が増加していることを認めた。4)オウレンのベルベリン生合成系遺伝子全体の発現調節に関わるWRKYの機能をより詳細に解析し、細胞株間で活性が異なることを明らかにした。
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