2004 Fiscal Year Annual Research Report
環境常在性ウイルス利用によるノリ色落ち原因珪藻赤潮の高度選択的防除に関する研究
Project/Area Number |
16208019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
長崎 慶三 独立行政法人水産総合研究センター, 瀬戸内海区水産研究所・赤潮環境部, 室長 (00222175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 峰生 独立行政法人水産総合研究センター, 瀬戸内海区水産研究所・赤潮環境部, 室長 (00371956)
板倉 茂 独立行政法人水産総合研究センター, 瀬戸内海区水産研究所・赤潮環境部, 室長 (10371957)
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Keywords | ウイルス / 赤潮 / 珪藻 / ゲノム / 1本鎖RNA / 環状1本鎖DNA / プランクトン / 殺藻性微生物 |
Research Abstract |
珪藻赤潮の防除に向けた研究を推進する上で、珪藻の動態に影響を及ぼす物理化学的要因に加え、殺藻性微生物等の生物学的要因に関する理解を深化することはきわめて重要である。本研究では、海産赤潮原因珪藻Rhizosolenia setigeraおよび海産赤潮原因珪藻Chaetoceros salsugineumをそれぞれ宿主とするウイルス(RsRNAV、CsNIV)の生物学的特性の解明を行った。 RsRNAVゲノム(1本鎖RNA)の約1/2の領域を解読した結果、海産ピコルナウイルスとの高い近縁性が示唆された。とくに代表的な赤潮原因藻Heterosigma akashiwoを宿主とするウイルスHaRNAVとの高い相同性が注目された。 CsNIVは粒径38nmの球形ウイルスであり、宿主細胞の核内で複製した。CsNIVは高い宿主特異性を持ち。感染後12-24時間以内に少なくとも325感染単位/細胞のウイルスを生産した。冷蔵・冷凍による力価の顕著な減少はみられず、CsNIVはきわめて高い安定性を持つウイルスであると考えられた。ホルマリン変性ゲル電気泳動、各種酵素処理試験、およびinverse PCRの結果、CsNIVゲノムは約1kbの2本鎖領域を持つ全長約6kbの(共有結合的に閉じた)環状1本鎖DNAであることが明らかとなった。演者らの知る限り、同様のゲノム構造を持つウイルスは未発見である。全塩基配列のORF解析の結果、少なくともユニバーサルな開始および終止コドンを用いた翻訳がなされていない可能性が高いと判断された。また配列の一部は、環状1本鎖DNAゲノムを持つサーコウイルス科の複製タンパク質と低い相同性を示した。 これらの宿主-ウイルス系は、沿岸域における珪藻とウイルスの相互関係を調べる上で有用なツールになるものと期待される。
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Research Products
(5 results)