2006 Fiscal Year Annual Research Report
DNA修復におけるクロマチン構造変換とその制御機構
Project/Area Number |
16209003
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
花岡 文雄 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 教授 (50012670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
益谷 央豪 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 助教授 (40241252)
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Keywords | DNA修復 / クロマチン構造 / ヒストンアセチル化 / UV-DDB / XPCタンパク質 / CBP / NER |
Research Abstract |
研究代表者および研究分担者は、DNA修復において、クロマチン構造の変換が修復因子による損傷の認識過程にどのような役割を果たしているのか、またピストンの修飾などのクロマチン構造の変化が修復の効率にどう影響するのかを明らかにすることを目的として研究を行い、以下にまとめるような知見を得た。 これまでの研究により、UV-DDBがヌクレオソーム構造をとった損傷の認識に関わることを明らかにした。一方、細胞抽出液を用いた実験においてUV-DDBはヒストンアセチル化酵素であるp300やCBPと共免疫沈降することが報告されている。そこで精製タンパク質を用いて実験を行った結果、UV-DDBとCBPが直接相互作用することが確認された。試験管内のアセチル化アッセイによって、紫外線照射したヌクレオソームに対するCBPのヒストンアセチル化活性がUV-DDBの添加によって上昇するのかどうかを解析したところ、CBPのヒストンアセチル化活性は、DNA損傷の有無やUV-DDBの影響を受けなかった。しかしながら、このアセチル化アッセイにより、DDB2それ自体がCBPやp300によってアセチル化されること、DDB2のアセチル化が反応系に紫外線損傷DNAを添加することにより阻害されることを見出した。また、DDB2はin vivoにおいてもアセチル化されていることが確認された。 一方、XP-C群患者から同定されたXPC遺伝子の異常のうち、690番目のトリプトファンがセリンへの置換を引き起こす点突然変異(W690S変異)に注目した。この変異XPCタンパク質は野生型に比べて細胞内で不安定であり、その結果、定常状態におけるタンパク質の発現レベルが顕著に低下していた。さらに精製した組換えXPC(W690S)変異タンパク質は正常なヘテロ三量体形成能は示すものの、DNA結合活性をほぼ完全に喪失していることがわかった。すなわちW690S変異によって、XPCタンパク質の量的・質的欠損が同時に引き起こされることが、NER機構の破綻とXPの発症につながるものと考えられる。
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Research Products
(6 results)