2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16209008
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
野田 昌晴 基礎生物学研究所, 統合神経生物学研究部門, 教授 (60172798)
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Keywords | 体液恒常性 / 体液塩濃度 / 塩分・水分摂取 / Naチャンネル / ナトリウムセンサー / グリア細胞 / 受容体型チロシンホスファターゼ / 記憶・学習 |
Research Abstract |
本研究では主に遺伝子ノックアウトマウスの解析を通して、プロテインチロシンホスファターゼζ(PTPζ)とNa_xイオンチャンネルの関わる生命現象とその分子・細胞機構を明らかにすることを目指す。本年度の研究成果は以下の通りである。 a)PTPζのシグナル伝達系 1.基質分子中の基質サイトの同定 Yeast Substrate-trapping Systemによって得られた4つの基質候補分子の内の1つ、p190 RhoGAPの解析を行い、Y1105がPTPζの脱リン酸化部位であることを同定するとともに、p190 RhoGAPはこの部位のリン酸化によってGAP活性が上昇することを見出した。 2.PTPζのリガンド分子による調節機構 PTPζは2量体化によって不活性化されることが、基質分子のリン酸化レベルを指標にすることによって初めて明らかになった。 3.記憶・学習 PTPζ遺伝子ノックアウトマウスは恐怖条件付学習において、cued hear conditoningは正常であるが、contexual fear conditioningが障害されていること、ノックアウトマウスでは海馬CA3領域において学習時におけるp190 RhoGAPのチロシンリン酸化の低下が認められないことを見出した。 b)Na_xチャンネル 1.機能的発現系の開発 C6グリア細胞を用いて、Na_xチャンネルの機能的発現に成功した。 2.Na_x相互作用分子の同定とその機能 相互作用分子としてNa^+, K^+-ATPaseのαサブユニットを同定し、Na_xと本分子の関係を解析しつつある。Na_x活性化によるNa^+イオンの流入は本分子を活性化することが予想され、Na_xの発現するグリア細胞のエネルギー要求性を亢進させていると考えられる。
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