2006 Fiscal Year Annual Research Report
エピジェネティクスの分子機構とその制御異常に関する遺伝医学研究
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16209011
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中尾 光善 熊本大学, 発生医学研究センター, 教授 (00217663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 裕之 国立遺伝学研究所, 総合遺伝研究系, 教授 (30183825)
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Keywords | 遺伝学 / 遺伝子 / ゲノム / 発生・分化 / DNAメチル化 / DNAメチル化酵素 / メチル化DNA結合蛋白質 / エピジェネティクス |
Research Abstract |
エピジェネティクスのシステム分子の生理機能と制御機構、その関連する遺伝現象と異常症について解析を行い、以下の研究内容において大きな進展があった。 DNAメチル化酵素DNMT3Aとその活性化因子であるDNMT3Lは、精子形成および雌雄のインプリンティングの確立に必須である。これらの遺伝子の変異マウスの精巣では減数分裂の進行とトランスポソンの抑制に異常が生じていた。また、これらの変異マウスの卵子から生じた胚は胎盤などに異常を来し流産することを報告した。雄・雌の生殖系列でメチル化されるインプリンティング領域を比較し、雄の生殖系列でメチル化される領域はメチル化の標的となるCpGが少ないことを見つけた。さらに、ICF症候群にDNMT3Lまたは類似の因子が関わる可能性を示し、今後ICF患者の細胞でメチル化異常の起きた遺伝子を探索するため、網羅的メチル化解析法を確立した。 メチル化DNA結合タンバク質MBD1の転写抑制ドメインに結合するMCAF1が、ヒストンメチル化酵素SETDBlによるヒストンH3の9番目リジンのトリメチル化に必要であり、メチル化DNA領域でMBD1複合体がヘテロクロマチン形成と転写抑制を担うことが判明している。MBD1によるMCAF1のリクルート機構について、MBD1のSUMO修飾が促進的に働くことを報告した。さらに、H3の27番目リジンのメチル化に関わるポ・リコーム複合体とMBD1が相互作用し、メチル化DNA結合タンパク質とポリコーム複合体が協働する分子機構を初めて明らかにした。さらに、ゲノム上の境界配列(インスレーター)は、インスレーター結合タンバク質CTCFで認識されているが、CTCFがクロマチンリモデリング因子CHD8と協働して、インスレーター機能(とくにエンハンサー遮断効果)を果たすことを報告した。また、マウスES細胞の神経分化において、PMLボディー及びヘテロクロマチンで構成されるクロモセンターの動態、0ct3/4遺伝子座でヒストンのアセチル化とメチル化、DNAメチル化のマークが分化段階に特異的に付されることを報告した。
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Research Products
(19 results)