2004 Fiscal Year Annual Research Report
血管リモデリングの恒常性と破綻の分子機構に関する病理学的研究
Project/Area Number |
16209012
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
居石 克夫 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (70108710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米満 吉和 九州大学, 大学病院, 助教授 (40315065)
中川 和憲 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (50217668)
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Keywords | 血管リモデリング / 血管新生 / リンパ管新生 / 血管内皮(前駆)細胞 / 周波細胞 / PDGF-A / B / 動脈硬化 / 癌 |
Research Abstract |
血管の構造と機能における恒常性維持とその破綻による血管病発生、進展機序を明らかにする為に以下の研究を遂行し、得られた成果を列記する。 1、病的血管リモデリングに関する基礎病態の解析 1)ヒト冠動脈の動脈硬化内膜における脈管新生の病理学的特性: (1)病的血管新生は動脈硬化進展に関与する因子の一つである。(2)一方、リンパ管新生は極めて稀であり、このことが内膜の炎症持続に関与している。(3)VEGF-Cの過剰発現は、主として血管新生促進因子として機能している。 2)腫瘍間質における血管新生スウィッチの分子機構: (1)癌腫細胞のプロモーター領域の脱メチル化によりPDGF-AA発現亢進が招来され、(2)過剰PDGF-AA発現が癌細胞のみならず間質細胞のVEGF-A, HGF発現の持続的発現亢進を惹起する。(3)in vitroのみならずin vivoにおいて、PDGF-Aアンチセンス導入により血管新生を抑制することが出来、そのことにより腫瘍の発育を顕著に抑制することが証明された。 3)糖尿病における虚血耐性ならびに血管新生能低下の分子機構: (1)糖尿病動物モデルの組織では、PDGF-B発現が特異的に低下している。(2)その原因にPKC活性化が関与しており、(3)PKC活性化アンタゴニストの投与、またPDGF-B遺伝子の組織導入により上記の機能低下を回復させることが出来た。(4)PDGF-B発現低下は新生血管の周皮細胞動員に重要であり、このことが新生血管の成熟に関与していた。 2、臓器ならびに骨髄由来血管内皮前駆細胞の分子生物学的特性: (1)胎仔マウス肝由来F1k-1+細胞は、肝細胞、胆管上皮細胞、血管内皮/平滑筋細胞への多分化能を有する。(2)血管内皮前駆細胞(AC133+/CD34+/CD31+)は、臍帯血細胞のCD34+/CD45+細胞分画に存在する。(3)この前駆細胞は成熟内皮細胞表面マーカーのみならずVEGF-C受容体をも発現している。
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Research Products
(4 results)