2005 Fiscal Year Annual Research Report
血管リモデリングの恒常性と破綻の分子機構に関する病理学的研究
Project/Area Number |
16209012
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
居石 克夫 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (70108710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米満 吉和 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (40315065)
中川 和憲 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (50217668)
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Keywords | 血管リモデリング / 血管新生 / リンパ管新生 / 血管内(前駆)細胞 / 周皮細胞 |
Research Abstract |
病的血管リモデリングの新規治療戦略を構築するために、血管の形態と機能の恒常性維持ならびに破綻機構と新規遺伝子導入ベクターの開発に関する研究を遂行し、平成17年度に得られた主な研究成果を以下に列記する。 1、病的血管リモデリングに関する基礎病態の解析: 1)動脈硬化内膜における脈管(血管とリンパ管)新生の病態学的意義:剖検により得られたヒト冠動脈硬化内膜のVEGF-A/C/Dの蛋白発現と血管ならびにリンパ管新生の病理学的検討を行い、これら脈管新生因子は主に血管新生に重要でありリンパ管新生には殆ど関与していないこと、またapoE-/-マウスの大動脈の粥状硬化をVEGF-A/Cが促進することから、これら脈管新生関連因子は炎症を促進し動脈硬化の進展に寄与していることを明らかにした。 2)糖尿病における虚血耐性ならびに血管新生能低下の分子機構に関する研究:持続する高血糖状態(糖尿病)により惹起されたAGEがPKCを活性化し、さらにPDGF-Bの組織発現を低下させることが虚血に対する耐性を低下させるのみならず機能的血管新生を抑制する原因の一つであることを明らかにした。従ってPKC活性化抑制剤ならびにPDGF-B遺伝子導入はこれら病態の新規治療法にとなりうることが判明した。 3)新生血管の成熟過程の分子機構に関する研究:血管内皮細胞・周皮細胞の空間的相互連携には、Ang1/Tei2/PDGF-B連関に加えてVEGF-C/PDGF-B連関が重要であること、またFGF-2の統合的血管新生には特に後者の役割が重要であることを明らかにした。 2、新規遺伝子導入ベクターの開発と臨床応用に関する研究 1)SIVベクターの生物学的特性に関する研究:これまでの分子学的、細胞学的特性の検討に加えてサルを用いた安全性に関する前臨床試験により明らかな全身・局所性催炎作用も臓器障害作用も認めないことを証明した。 2)組み換え非伝播型SeVベクターの開発:F欠損型、M-HN欠損温度感受性型、全膜蛋白欠損型ベクターを開発しこれら新規ベクターの生物学的特性の解析を進めている。
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Research Products
(6 results)