2006 Fiscal Year Annual Research Report
血管リモデリングの恒常性と破綻の分子機構に関する病理学的研究
Project/Area Number |
16209012
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Research Institution | KYUSHU UNIVERCITY |
Principal Investigator |
居石 克夫 九州大学, 大学院医学研究院, 教授 (70108710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 和徳 九州大学, 大学院医学研究院, 講師 (50217668)
古賀 孝臣 九州大学, 大学病院, 講師 (70380615)
鬼丸 満穂 九州大学, 大学院医学研究院, 助手 (00380626)
岡野 慎士 九州大学, 大学院医学研究院, 研究員 (10380429)
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Keywords | 動脈硬化 / 血管新生 / FGF-2 / SeV / PDGFs / VEGFs / 癌 / トランスリレーショナルリサーチ |
Research Abstract |
平成18年度研究実績の概要は以下の通りである。 1.病的血管リモデリングの発生、進展に関する研究 1)動脈硬化進展における血管新生の病態学的意義に関する研究:VEGF-Aならびに-Cによる血管壁活性化は動脈硬化を有意に促進するが、VEGF-E, PIGF, VEGF-C156Sではこの促進効果が認められないことからVEGFR-1/2もしくは-2/3のシグナル伝達が重要であることが示唆された。 2)機能的血管新生における時間的・空間的細胞相互反応に関する基礎的研究:新生血管の成熟には、VEGF-C/PDGF-BまたVEGF-A/PIGF連関を介する内皮一周皮細胞相互反応が標的となることを明らかにした。 3)久山町コホート研究の剖検例の病理学的研究から、糖尿病、慢性腎不全が独立した心血管病の発生危険因子であることを明らかにした。 2.標的分子搭載遺伝子導入ベクターを用いた臨床応用の基礎的研究:(1)PEDF-SeVによる血管ならびに神経保護作用はミトコンドリア依存性アポトーシスの抑制効果によることを明らかにした。(2)FGF-2-SeVによる機能的血管新生促進効果は、初期のRaf-1/MEKとp70^<S6K>経路を介したVEGF/HGF/PDGF-AA連関による血管形成のみならず後期のp42/44MAPK経路を介したVEGF-C/PDGF-B、またAng-1/Tie-2連関による血管成熟過程の促進作用によることを明らかにした。(3)FGF-2-SeVを用いたヒト末梢動脈疾患に対するトランスレーショナルリサーチを推進中である。(4)膜蛋白(F, M, HN)欠損型SeVベクターの遺伝子導入に於ける生物学的特性をin vivo, in vitroにて検討し、3膜蛋白を欠損させることにより導入ならびに発現効率を維持しつつ初期免疫反応を抑制しうることを明らかにした。 3.研究総括:とくに1)虚血組織に於ける機能的血管新生には、(1)VEGFs, HGF, PDGFs, PIGF, Ang-1/2などの血管新生関連因子の協調的相互作用が重要であり、(2)これら相互反応をFGF-2は統合的に促進することを明らかにした。従って、(3)この結果から、FGF-2がヒト虚血臓器に対する血管新生療法の有力な標的分子の一つであることを明らかにした。また、2)統合的血管新生機構に関する成果を、現在、血管新生病の治療戦略構築に応用中である。
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Research Products
(14 results)