Research Abstract |
平成16年度は呼吸回路システムを改良し,超高感度質量分析に対応した周辺技術を完成させ,次年度以降の臨床応用の基礎を作った.すなわち,1.高感度分析用呼吸回路の改良:(1)Jバルブ,(2)マウスピース用回路,(3)マスク用回路,(4)呼気水分分析の各パーツの内表面形状を確認しながら,汚染源となりうる接続部を極力減らした上で,呼吸回路システムを改良した.2.ガス濃縮装置の改良:液体窒素冷却ガス濃縮装置とGCと組み合わせ,ガス濃縮効率の向上をはかった.3.高感度分析用呼気採取バッグの開発:採取バッグを郵送・宅配により回収し呼気分析を行うことを念頭に置き,種々の採取バッグについて保管条件を検討し,最適な呼気採取バッグの選定と改良を行った.4.濃縮装置-GC-MS(APIMS)システムの完成:開発済みの液体窒素濃縮-GC-MSの仕様を改良し,種々のカラムの適合を検討し,呼気中の多種成分の検出が可能なカラムの選定と組み合わせを検討した.5.呼気分析の臨床試験:前年度までの基盤研究の実験計画を続行し,従来の呼吸回路を用いて,多数の被験者での呼気質量スペクトラムのデータを収集した.6.臨床応用:以上の各パーツの開発をもとにし,健康成人を対象に健康調査票(性,年齢,食事,居住環境,喫煙,生活習慣等),Cornel Medical Index等の質問紙調査や種々の臨床検査情報を得た上で,安静呼気を上述の呼気採取バッグにより採取し,濃縮装置-GC-MSならびにAPIMSを用いて質量分析を行い,両者の分析結果の差異を比較検討した.
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